2023/12/08

#1006 レイ・ブラッドベリ『たんぽぽのお酒』感想

『さよなら僕の夏』を読みたくて、この本を読み始めました。

はじめてのレイ・ブラッドベリが『華氏451度』ではなく『たんぽぽのお酒』になる人っているのかな?

ずいぶん昔に蔦屋で英語の本のバーゲンのようなものがあってまとめて買い込んだのですが、そのなかにDandelion Wineがあったのも『たんぽぽのお酒』を読んだ理由です。

これはね……。

12月に読む本ではないですね。初夏に読み始めるべき本です。

毛布にくるまりながらこの本を読みましたが、気分はすっかり夏です。光と希望に満ちた輝かしい夏。

『たんぽぽのお酒』を読み終わったらすぐに次の『さよなら僕の夏』を読み始めようと図書館から借りていましたが、返しました。来年の夏に読みます。

ダグラスが自分が生きていることに気づいた夏のはじめ、そして自分が死ぬことを知った夏の終わり……。

グリーン・タウンの人々。希望があり、絶望があり、生があり、死がある。小さな町のなかに人生のすべてがある。

はあ、まだ心は架空のイリノイ州をさまよっています……。

お年寄りの話がよかったな。タイムマシンの老大佐、むかしはきれいだった老婦人……。過去を生きる人と、過去を捨てた人。

わたしはどうなるのだろうか。

すがるほどの過去はないから、老境に入ったら潔くすべて忘れて今を生きられるようになるんだろうか。

今を生きるってむずかしいです。

ささいな刺激で過去の嫌な記憶がよみがえり、読んだ本の内容を反芻し、成功した未来を思い描いています。

ダグラスの目にうつる景色があざやかなのは、今をいっぱいに受け止めて、その美しさに圧倒されているからだろうな。

目をひらいたら美しい世界がひらけているのに、薄汚れたわたしはなかなかそれを見ることができません。

まあ、物理的な問題もあるんです。

眼鏡が黄ばんでいるんですよ。ブルーライトカットの眼鏡なので。

たまに眼鏡を外して空を見ると、その青さ、本来の澄んだ空色に驚きます。わたしはどれだけ黄ばんだ世界を見ているんだと。

ブルーライトカットってあんまり意味がないみたいなので、次の眼鏡は絶対にふつうのクリアな眼鏡にします。

でもなあ。今の眼鏡、8万円くらいしたんですよ。次の眼鏡にはそんなにお金をかけられないし、格下眼鏡に降格することは必至。それなら高い眼鏡をかけていたいという貧乏根性で、この黄ばんだ眼鏡をかけ続けています。

眼鏡は消耗品、四年で消費期限、ということを忘れないようにしないといけませんね。

さて。

わたしの見る世界がくすんでいるのは、なにも眼鏡だけのせいではないのは確かなので。

少年のように世界が見れるようになることを祈ります。

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