2023/12/31

2023年おもしろかった本ランキング

年末ですのでやっておきましょう、今年読んでおもしろかった本ランキング!

昨日の記事で今年読んだ本はリストアップしたのですが、おもしろかった本は色をつけるだけに留めていたので、改めてまとめたいと思います。

ちなみにネタバレありです。

それではどうぞ!
  1. 恩田陸『蜜蜂と遠雷』
  2. 森博嗣『有限と微小のパン』
  3. ポール・オースター『鍵のかかった部屋』
  4. 山吹静吽『夜の都』
  5. ゲーテ『若きヴェルターの悩み/タウリスのイフィゲーニエ』
  6. ジョナサン・サフラン・フォア『ものすごくうるさくて、ありえないほど近い』
  7. パトリック・レドモンド『霊応ゲーム』
  8. ウィリアム・モリス『ユートピアだより』
  9. 内海健『双極性障害Ⅱ型という病』
  10. 松木邦弘『不在論:根源的苦痛の精神分析』
こんなかんじになりました!

まず第一位に輝いた恩田陸『蜜蜂と遠雷』

これは読んだのが最近ということもあり、大好きな森博嗣を抑えて一位となりました。
ピアノに人生を狂わされる若き才能たちのコンクールにまつわる群像劇。
ピアニストの栄光と挫折をまざまざと描き、文章で音楽を聴くという稀な体験をさせてくれたこの作品が今年の一位となりました。

そして第二位は誰もが認める絶対的天才作家森博嗣『有限と微小のパン』

S&Mシリーズの最終巻です。巻が進むにつれてどんどん分厚くなっていったS&Mシリーズですが、最後にはちょっとした頭なら余裕でかち割れそうな厚みになっていましたね。犀川の最大の宿敵にして特別な相手である真賀田 四季の再登場に胸が躍りました。フィナーレを飾るにふさわしいトリックには脱帽でした。仮想現実のあれこれが2001年に書かれているとは空恐ろしくなります。

第三位はポール・オースター『鍵のかかった部屋』

《ニューヨーク三部作》の最期を飾るにふさわしい内容でした。三部作をつらぬいた孤独と自我の喪失の痛みは、いま思い出しても胸に迫ります。けれどこの本では、現実に根差した幸福が書かれていてそこは唯一の救いと言えるのかなあと思います。ポール・オースターはこの作品を書き終えて次にどんな作品を書いたのか? 期待と不安でいっぱいです。

第四位は山吹静吽『夜の都』

意外な作品がランクインして自分でも驚いております。はじめて読んだ作家さんで、普段はあまり読まない幻想小説でした。けれど非常に心に残っております。古き日本に訪れた異国の少女が巻き込まれた不思議な魔法にまつわる話。クダンが憎めない性格で最期も美しくて素晴らしい小説でした。

第五位はゲーテ『若きヴェルターの悩み/タウリスのイフィゲーニエ』

やっぱりゲーテは文句なしにおもしろかった……。ただ手紙が時系列に列挙してあるだけなのにどうしてあれだけ読ませてしまうのだろう。しかも恋に激しく狂った青年が友人にあてて溢れる思いをぶつけているだけなのに、ぐいぐい引っ張られて読んでしまう。シャルロッテについてもいろいろと女性として思う所があるんですよ。でも書いていたらキリがないので……。ああ、ゲーテよ永遠なれ!

第六位はジョナサン・サフラン・フォア『ものすごくうるさくて、ありえないほど近い』

タイトルと装丁を見て絶対おもしろい小説だと確信して読んだのですが、やはりおもしろかったです。あらすじはなんてことない小説なんですが、語り手が変わっていく手法とか写真を使った表現とか、見どころがたくさんあって飽きないんです。最後の写真で、同時多発テロ事件で落ちていった男の写真が空へのぼっていくようになっているところには救いを感じました。

第七位はパトリック・レドモンド『霊応ゲーム』

少年愛的な要素があると風の噂で聞いたので読んでみました。期待通りの良質な少年愛を見ることができて大変満足しました。閉鎖的なパブリック・スクール、気弱な主人公に近づいてくる危険な匂いのする孤高の少年……。そりゃあ好きでしょう。ええ好きですとも。劇的な最後も良きでございました。

第八位はウィリアム・モリス『ユートピアだより』

夢にひたれる小説です。この小説が書かれたのって何年前ですっけ? 19世紀末かな? その時代に書かれた理想郷に現代のわたしがうっとりしてしまう。それってすごいことですよね。人間が求めるものは科学によって先鋭化されどんどん現実になっていくけど、ある一方では何百年経っても変わらない理想があるんでしょうね。

第九位は内海健『双極性障害Ⅱ型という病』

今年になって双極性障害だと診断されたので、いろいろと本を読んだなかで一番有益だった本です。まだ手元にはないですが、ちゃんと購入して何度も読み返そうと思います。双極性障害の方で、いろいろ読んだけどいまいちピンとこないという方はこの本を読んでみるといいかもしれない。

第十位は松木邦弘『不在論:根源的苦痛の精神分析』

この本も購入して内容を自分のなかに溶解させたい本です。なんか生きていると「何と戦っているんだ自分は?」と思うときがあるじゃないですか。そういうとき自分が何と戦っているのかがなんとなくわかった気になれる本でした。まだしっかりと理解できていいないと思うので再読したいです。


駆け足でしたが、今年読んでおもしろかった本ランキングでした!

わたしは今まで読んだはしから忘れていくという本の読み方でした。
でもこのブログのおかげで、読み終わったときの記憶がそのまま保存されているんですよね。
これってけっこういいかんじです。
このブログは続けられる限り続けていきたいなあと思います。

それではよいお年を。

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