デスの次はライフらしいので、そちらも読んでみることにしよう。
吉本ばななの描く「死」は、秋の空のように突き抜けてて哀しくて寂しいですね。
その人がいた空間にぽっかりと空いた空白。それは生身の身体だけじゃなくてその人が纏う空気や記憶、過去や未来まで含めた空白。
その空白に苦しむ話もあれば、生きるということが苦しすぎてそこから突き抜けようと死へ向かってしまう話もありました。
大切な人の不在があり、その周囲にいる人々が戸惑いながら寄り添い、その悲しみを見つめ、自分のなかに抱え込む。そしていつかちがう自分でちがう視点からその死を見られるようになれるよう祈る。
そのやり方が吉本ばななの小説の登場人物はあっけらかんとしていて、でもとても切実で、息が詰まるように苦しいけど、でもどこかに希望のうすぼんやりとした光がある。
わたしは大切な人を亡くした経験はないけれど、もしそれを経験したら、吉本ばななの小説はどういうふうに感じるんだろうな。
ぼけっとしたわたしはほとんど意識することがなかったけれど、わたしのまわりにも死の影が漂い始めたのをこの歳になって感じている。
一月二日に昼寝をしていたら、家族に関する濃厚な夢を見て、「これは家族の誰かに何か起きるかもしれない」と思い、昼寝から起きてすぐに喪服を買いにいきました。
結局その夢は家族に関する吉兆だったのだけれど、でもそういうふうに、家族もわたしも死のすぐ隣で生きているんだ。
まだ現実感の伴わない死。それがわたしの人生にいずれ必ず関わってくる。それは周りの誰かかもしれないし、他ならなぬ自分かもしれない。
でも今はそんなこと忘れよう。死はわたしにはとても抱えきれないから。そのときがくるまで、忘れて生きていこう。
0 件のコメント:
コメントを投稿