アマプラで一度観てからもう一度観たくて観たくて、ふと探してみたらあったのでさっそく観てみました。
ということで、新年一作目の映画はアリ・アスター監督の『ヘレディタリー 継承』となりました。
名作のすごいところって、大体のシーンを覚えているところですよね。
駄作だと「こんなシーンあったっけ?」となるのですが、名作だとすべてのシーンに見覚えがあってそれをちゃんと時系列で覚えています。
一回目に見たとき、ありきたりなホラーに飽き飽きしていたところでこの作品を観たので、まじでひっくり返るどころか凍りつきました。
なんだこの身に覚えのない恐怖は……。
ありがちな恐怖アイテムや恐怖シーンからすべて逸脱している。
人間の見得る限り最悪の脈絡のない悪夢。それが映画として結実している。
アニーが完全に壊れてしまってからのシーンの連続は戦慄しました。本当に画面から目が離せなかった。
人間があんな恐怖を想像しうるものですかね?
疲れ切って起きたら、見慣れた自分の部屋の上の隅に母親(らしきもの)が潜んでいる。
それが音もたてずに天井を横切っていく。それは自分を見ている。
家を取り囲む全裸の男女……。
屋根裏の扉に頭を打ちつける女。
家に入り込んでいる見知らぬ人々。
空中に浮かんだ自分の首を刺す女。
首を刺す音がどんどん速くなっていく……。
悪夢。これ以上ない悪夢です。
そして身体を奪われ、いつのまにか絡め取られていた悪魔崇拝の依り代として祀り上げられる。
作品全体を覆う不気味さに下品さはなくて、驚かせてやろうという魂胆も見えない。
ただただ悪夢を淡々と見せられる。
こんな上質で最高に怖いホラー作品が過去にありましたか?
『エクソシスト』くらいしか今は思い浮かびません。
やはり名作は何度観てもいい……。
そう思わされました。
アリ・アスターは天才だ。
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