毎夜寝る前に少しずつ読み進めて読破しました。二週間くらいかかったかな。就寝前の楽しみがあるっていいですね。
いやあ面白かった。文句なしに面白かった。不倫小説が読みたいなあと思って読み始めたけど、こんなに面白いものだったとは想像もしていませんでした。『赤と黒』という物々しいタイトルから想像できないくらい読みやすかった。
読みながら何度声をあげたことか……。信じられないことが起こるたびに息を飲んで「うそでしょ!?」と叫んでました。
筋書きはいたって単純なのに、どうしてこうも引き込まれてしまうんだろう。物語の力なのか、文章の力なのか……。得体のしれない力が働いて、ぐいぐいと先へ先へとひっぱられていく。古典って本当に強い力を持っているなあと感じます。
1830年に出版されたということは、200年くらい前に書かれた小説ということか。200年! 200年経ってもおもしろいって……すごいな。
スタンダールは自覚してなかっただろうな。自分が後世まで読み継がれる作品を書いたということを……。生前はあまり評価されなかったみたいだから……。発表当時、世間は熱狂しただろうと思ったのにそうでもなかったみたいだし。
ジュリアンの正義感と野心、そして周囲に対する潔癖と卑下。若い頃はわたしにもジュリアンのような要素が少なからずあったような気がするな。そしてマチルドみたいな女の子でもあった気がするし、マチルドのような女の子も知っている気がする。レナ―ル夫人のようにはなれそうもないな笑。
政治や社会情勢に対する描写もあって、作者は読者にはつまらないだろうからってできるだけそういう要素を削ろうとしていたみたいだけど、むしろあの描写があったからこそ物語に奥行きが出てよかったよな。
『赤と黒』というタイトルについて、以下解説より引用。
最後に、題名の『赤と黒』についてはさまざまの解釈がおこなわれ、「赤」を軍服、「黒」は僧衣――つまり主人公の生活方向の二つの可能性を示すものと考えるのが一番普通になっている。しかし、スタンダール自身は「赤」をもって共和主義を意味したらしい実証がある。いずれにせよ、赤は大革命後の共和政府から帝政時代へかけての英雄的な精神の横溢した活気ある時代、黒は僧侶や陰謀がはばをきかした王政復古の陰鬱は時代のシンボルと見て、この対立する二つの精神や時代を色わけしていると感じるのがよさそうである。
タイトルの意味が気になっていたので自分用のメモ。原題は『Le Rouge et le Noir』。
ちなみに、この引用箇所誤植がありません? 「陰鬱は」じゃなくて「陰鬱な」じゃないかな。誤植ってほぼ見ないからわたしの方が間違っている可能性大だけど……。
なにはともあれ、すっごく良い読書をしたなあ……。満足……。やっぱり古典はすばらしいや。
このまま河出世界文学全集を読んでいこうかなあと思ったんだけど、第5巻はポーなんだよね。ポーはけっこう読んでいるし、どうしようかなあ。
第一巻から読んでもいいんだけど、たしかダンテ『神曲』なんだよね。わたしに読めるかな……?
でも、寝る前に文学全集をちょっとずつ読み進めるのはいいかもしれない。一年続けたらどのくらい古典作品を読めるかな。やってみようかな。
よし、そうしよう。今回は文学界の巨塔『赤と黒』を制覇したので、次の巨人に挑みたいと思います。
でも、古典だけでは飽きがくるから、次はSFを読みたいな。たとえば『三体』とか全巻買ってるのに読んでいないし、というかSFの積読が多すぎて気になるんだよな。
過去の空気を吸ったあとは未来の空気を吸いますか……。ということで、ひとりでSF祭りを開催しようと思います。わくわく。
文学という世界に、わたしがまだ知らない物語がたくさん潜んでいると思うと楽しみだ。
あ、そうそう。ひとつだけ不満があったんだ。忘れるところだった。
挿絵。あれ、適切な位置に配置してくれないかな怒。どうしてネタバレになる位置に配置するの?怒 あれだけは許せない。というか挿絵いらないんだけど。挿絵のあるなしで読むか読まないか決めないだろ、『赤と黒』を読むような読者は。なんのために挿絵が必要なんだよ。納得のいく説明をしてくれよ。カラー挿絵付きという触れ込みで豪華にしたいから? 小説の内容が豪華なんだからいらないだろ。
挿絵のせいで、ジュリアンがレナ―ル夫人を拳銃で撃つ展開が随分前にわかってしまったし、ジュリアンの首を持ったマチルド(影だったけど)で何が起こるか察してしまっただろ怒。
まあ古典だし、有名な物語だから筋書きくらい知っているだろうという考えからあんな無神経なことができたんだろうけど、わたしのように無教養ながらも『赤と黒』を読んでいる読者は、次に何が起こるかわからない状態で固唾をのんで物語の行く末を追っているんだよ。初めて読む物語なんだよ。結末がどうなるのか知らないんだよ。
それだってのに……。あんな挿絵でネタバレされて……。何も知らないまっさらな状態で読みたかった……。百歩譲って挿絵はいいとしても、挿絵にする物事が起こった後に挿入してくれ、頼むから!
はあはあ……。ひさしぶりに怒ってしまった。気にしないでください。わたしはネタバレに対する耐性がなくて、ネタバレに過剰反応してしまうんです。
わたしだってしょっちゅうネタバレしてしまいますし、この記事もそもそもブログ自体ネタバレ前提ですし、自分のことを棚に上げて河出書房を怒っても仕方ないですね。
はあ。挿絵いらないなあ……。河出じゃなくて、別の全集を読もうかな……。でもなあ。村上春樹がたしか河出書房の世界文学全集を読んでいるんだよな。うう、彼が読んでいるなら読みたい……。迷うところだ……。いや、我慢して読もう……。
ネタバレを涼しい顔で受け流せるようになりたいですね。しかし、いつになることやら……。やれやれです。
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