今回はベックが主人公。相変わらずおもしろい。
やっぱりダレン・シャンって残酷な運命に翻弄される少年少女の心理描写がうまい。平易な文でスルスル入ってくるのに胸を抉る。
『ダレン・シャン』のクレプスリーといい本作のダービッシュといい、主人公を庇護する大人のキャラクターがいいよね。性格ひねくれてるけど信念は真っ直ぐで、たまにダメになる等身大の大人ってかんじ。
主人公を導くメンターの役割をするキャラクターがどういう人物かによって、物語の面白さが左右されるといっても過言ではないと思う。
メンターをただの「立派な完璧人間」や「作者の代弁者 and/or 理想像」にしないようにしないとな……。気をつけよう。(先日読んだ本を思い浮かべながら)
そういう意味では今作の人間味あふれるダービッシュの凋落ぶりはよかった。読んでいて辛いものがあったんだけど、これがリアルだよな、大人だってボロボロになってしまうこともあるよな、って納得できた。
次々と敵があらわれ主人公側が追い詰められていく展開のおもしろさはもちろん、登場人物の苦しみや葛藤が鮮やかに描かれているところがダレン・シャン作品の醍醐味だよな。
それにしても……敵の正体が明らかになったわけだけど、こんなに大風呂敷を広げて大丈夫か……? と心配になる。さしものダレン・シャン氏もこれを大団円に導くのは難しいのではないだろうか……。
すこし不安はあれど、とりあえずダレン・シャンの手腕に大いに期待して読み進めていく。
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