2024/05/13

凪良ゆう『汝、星のごとく』感想

※ ごめんなさい、この本が好きな方は読まない方がいいです。



…………。←文句を言いたいのを必死に抑えている沈黙。

いや、今回はわたしが全面的に悪い。

まず、オーディブルで聞いたのが悪かった。オーディブルとわたしの相性が悪い。はじめてのオーディブルで、よくわからないけど一番目立っている作品を選んだのがダメだったし、ナレーションで読み上げられるのがこんなに不快だと想像できなかったわたしが考えなしだった。

あと、本屋大賞という宣伝文句につられて読んだわたしが馬鹿だった。わたしよりたくさんの本に触れているであろう書店員さんが選ぶならおもしろいだろうと信じたわたしが間違っていた。そりゃあ売れる本を選ぶよね。そして本を売るためには、普段本を読まない層が買わないとヒットしないもんね。

それと、知らない作家に挑戦したのも愚かだった。たまには売れている本や新人作家を読もうとしたのがいけなかった。でも、すでに読んでいる本や好きな作家の本はオーディブルで聞きたくない。わたしのなかのわたしだけのイメージを大切にしたいから。だから、知らない作家なら思い入れもないし、おもしろかったらめっけものだと軽く考えていた。

なぜわたしがこんなに鬱憤を抱えてしまったかというと、この作品に費やした時間が長く辛いものだったから。この作品を聞き終わるまでにかかる時間は約12時間。12時間ものあいだ好きになれない作品に耳を傾けなければならなかった。

これね……紙の本なら起こり得なかった失態なんですよ。だって紙の本ならパラリとめくって数秒読んでわたしにとっておもしろいかおもしろくないかわかるから。オーディブルではそれができないのが痛手だね……。そしてわたしは一度読み始めた本は読み通すことを信条にしているから、途中でおもしろくないと思っても放り出せない。

うがが……。すべて自業自得なんだけど、フラストレーションを感じる。わたしにとってつまらない本を読んでしまったという後悔。いや、この作品も迷惑だよね。わざわざ自分から聞きにきといて文句タラタラなんだから。なら読むな聞くなって話ですよ。わたしがぶつかりに行っているんだから、10対0でわたしの責任です。

途中まではわりと聞けたんです。耳で聞くとこんなものかな? と首をかしげながら、まあオーディブルは初めてだし様子を見ようと思っていました。だけど途中から至るところに違和感を感じて、その違和感を必死で無視して無心で聞こうと努めました。

そしてやっとこさ終わり、改めて考えて、「……あれ? この本、つまらない……?」とじわじわと実感し、そんな本を12時間も聞いていたことに自分に対して怒りを覚えました。

わたしは普段、人の感想とか調べません。だけど今回ばかりは調べました。これをおもしろいと言っているのはどういう人なのか、そしてわたしと同じように不満を持っている人がいないか調べるために。

それで少数派ですがわたしと同じように感じている人がいることに安堵して溜飲が下がりました。この作品のおかしなところをいちいちあげつらうことはしませんが、とにかくnot for meであったことは否定できない。

いや、これは作品が悪いのではなくて、わたしの好みの問題なんだ。これに尽きる。もともと恋愛小説が苦手だし……。まあこのひとつ前の記事でジェーン・オースティンを絶賛していたわたしが言っても説得力ないか……。でもジェーン・オースティンと凪良ゆうを比べるのはあまりに酷ですよね……。

あとこの作品に対する嫌悪感は内容だけじゃなくて、ナレーターの男性に対する嫌悪感でもある。わたしはこの作品のナレーター男性の京都弁や女声がちょっと受け入れがたかった。本当にごめん。

はあ、まあ、でも……。普段読まないような作品に触れられたことはよかったじゃないかと自分を慰めるしかない。こういう作品が現代の若者にウケているってことなんだろう。

そういえばわたしが小学生か中学生のときも、ケータイ小説が流行っていた。わたしも読んでいた。うん。そうだな。読書をはじめた最初の頃は、何が駄作で何が傑作かの区別もろくについていなかった。読む作品すべてが新鮮でおもしろかった。目についた本はなんでも読んでいた。

おそらくこの作品に感動して、読書にのめり込む人がいるだろう。本を普段読まない人を読書の世界に引き入れる力を持った作品だと思えば、自分を許せるような気がする。

この失敗にへこたれずに、果敢に新しい本に挑戦していきたい。

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