うひゃあこれ、金かかってんなあ……。そして制作費を回収できなかったのも頷ける。これは……これは駄目でしょう……。
監督はデイミアン・チャゼルか。だから金を引っぱってこれたんだろうな、この過激な内容で……。まさに野心作だね。映画の枠を打ち破りたい、映画が大好きだ!! って気持ちはちゃんと伝わった。
オープニングの怒涛の映像には圧倒されたんだけどなあ。後半もなかなか集中力を保てたんだけど。でも。でも。長いって……。さすがに三時間は長い。申し訳ないけど、二日に分けて観させてもらいました。
この映画を映画館で観た猛者に感想聞いてみたいな。上流階級のパーティにネリーが出席するシーンなんて恐ろしく退屈で観ていられなかった。もちろんそれはハイソサエティのくだらなさを強調するために意図してつまらなくしていたんだろうけど。ふふ、あのものすごい嘔吐噴射はびっくりしたね。
三時間かあ……。おもしろかったけど、ぶっ続けで観ることはできなかったな。残念。いやはや、疲れるんだよね、この映画。半分褒め言葉です。台詞も多いし情報も多いし緊張もするしで、体力のないわたしには三時間耐えられなかった。
後半はものすごい緊張の連続でしたね。たとえばコンラッドがパーティでフェイと話したあと、階段を上がってボーイに金を渡したときからなんとなく不穏な空気を感じて、廊下を上機嫌で歩くコンラッドに「まさか……」と嫌な予感が増していって、本当に自殺したのはすごかった。
上機嫌で歩くコンラッドの背中を映しているだけなのに、これから自殺することを観客に伝えることができるのすごいですよね。そっか、その前のフェイと話すコンラッドの表情を丁寧に映していたときから、ほのめかしは始まっていたんだ。
あとひとつ、背中で悲しい運命を予感させててすごいなと思ったシーンは、メキシコに逃亡するためにマニーが仲間を呼びに行ったとき、車で待っていたネリーが小さく踊りながら暗闇に消えていくシーン。あそこはいつネリーが殺されるのか戦々恐々としていた。結局、彼女はそのまま行方不明になって後にオーバードーズで死んだわけだけど……。
ネリー……。彼女に嫌気がさして、最後まで通して観れなかったところがある。彼女がもう少し許せるキャラクターだったら、不快感が少なかったのに。乱暴でヤク中で自己中で破壊的な彼女を好きになることができなかった……。
しかし、この映画の嵐のような怒涛の展開はネリーの破天荒さが必要だったわけで。仕方ないよね。マーゴット・ロビー、演じるの大変だっただろうな。彼女はよくやったよ。
なんだか、この映画観たら毎日仕事いってセコセコ働いてるのが馬鹿らしく思えてきちゃいました。日々の生活も放棄したくなる、それくらい力のある映画だと思う。前半観ただけでめっちゃくちゃ疲れたってのもあるのですが。
疲れたし、ネリーも不快だけど、この映画のことを嫌いになることはできない……。だって、冒頭にも書いたけど映画をどうにかしたい、って思いを感じるし、実際にこの映画でどうにかしようと試行錯誤しているし、それは映画を愛しているからだってのがわかるから。
デイミアン・チャゼルにはこれからもいろんな作品を撮ってほしいな。この『バビロン』の興行的失敗に負けずに……。
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