2024/03/22

映画『チャイルド・プレイ』感想 ※ネタバレあり

無聊を慰めるために観た映画でしたが、おもしろかった。

おもしろかったはおもしろかったんだけど、ちょっと今うつっぽい時期なのであんまり感想が出てこないな。

映画を観るうえで一番気になったのがチャッキーをどうやって動かすんだろうということだったんだけど、予想外に上手に動かせていて自然に見える撮り方も上手くて驚いたな。

あれって表情はロボットで動かしているんだよね? ロボットでよくあんな邪悪な表情を作れるなあ。滑らかに動いてたし。あの時代にはあれだけ技術が発展していたんだね。あとはところどころ低身長症の人を使ってるのか。

でも、心の感度が下がっているときに観たからか、どうしてあんな大ヒットして伝説的な作品になったのかいまいちよくわからなかったな。

当時観たら衝撃的だったんだろうか。『グレムリン』を観たときも同じようなこと思ったけど……。なんでこれが? と思ってしまう……。

でも、そういうものなのかもしれないなあ。

例えばわたしは『マトリックス』が大好きなのだけれど、あれって今の若い子たちが観たらCGの技術とかお粗末に見えるのかもしれないね。

でも『マトリックス』を当時観たわたしはものすごく衝撃を受けたし新しい映像に興奮したし感動したし今でも大好き。

だから数十年後にマトリックスを観た若い人が「この映画がなぜ大ヒットしたのかわからない」とか言っていたらちょっと怒りを感じるかもしれないな……。怒りというか困惑だな。なぜこの映画のすごさがわからないんだ? と戸惑うかもしれない。

そう思うと、今の子たちってめちゃくちゃ目が肥えているんだろうなあ。リアルで自然なCGは当たり前、洗練されてて面白いのも当たり前。

そんな子たちが前世紀に作られた映画を観たら古臭くてあか抜けない面白くない映画と感じてしまうのも無理はないのかもしれない。

映画体験っていつの時代に生まれるかでまったく変わってくるんだなあと実感しました。

わたしも古い人間になっていって新しい人が新しい映画を観ていくんだなあ。

しみじみとそんなことを思いました……。なんか老いた気分。枯れてるんです、いま……。

まあ、そんな時期もあるよね。

2024/03/18

映画『KING OF PRISM by PrettyRhythm』感想 ※ネタバレあり

別のところでもちょっと感想を書いたんだけど、感情を整理するためにここにも書いておく。

頭の凝り固まったわたしには、この映画が必要だったんだ……。

作品を観ればやれ脚本がどうだのやれ監督がどうだのウダウダ言っていたわたしが本当にバカらしくなってしまった……。

この映画でわたしの心が丸裸にされてしまったような気がします。男の裸が山ほど出てくる映画だからというわけではないんですけど……。

これでもかこれでもかと展開を詰め込みそのすべては誰もツッコむこともなく突き進んでいきあれよあれよという間にプリズムショーに魅せられてしまう。

あらゆるシーンが衝撃的で突拍子がなくめっちゃおかしいのだが、笑っていいのかわからないくらいみんな大真面目にやっている。

ああだめだ、こんな言葉じゃあの映画のすごさは言い表せない……というか言葉で表現できる気がしない。

これはこの映画を観たという体験を共有した者同士でなければ通じ合うことができないんだ。

たとえばアイドル映画を観ていたと思ったら突然バトルがはじまって天を竜が舞い腹筋で剣の攻撃を弾き返しお尻から蜂蜜が出てキッスされ無限ハグされるという体験を共有した者でなければ「なにいってんだこいつ」ってなるに決まってるんだから……。

なんか一時期キンプリが流行りまくっているなあと思っていたら、みんなはこんなすごいものを見ていたのか。たしかに「キンプリはいいぞ」としか言えなくなるわ。

一応二回観たのですが、奥深いキンプリの世界を知ることは到底できず……オススメしてくれたお友だちが親切にも解説をしてくれるとのことだったのでその解説を待ちます。

今まで観た映画のなかで一番声をあげてしまった映画かもしれない。普通の映画を観るときはもちろん無言なのですがこの映画はあまりの羞恥と衝撃に「いやー!!」「ひいー!!」「あ”あ”ー!」とダメージをくらいながら観たので……。

観終わったあとは頭をぐちゃぐちゃにされるんですが、でもなんだかクセになっちゃうんだよなあ……。

わたしみたいに頭でっかちのお高くとまった映画通気取りはぜひ観た方がいい。今まで築き上げた映画の常識を根底から覆されるから……。これは我々の脳がどれだけの負荷に耐えられるかという挑戦でもあるんだ。

なにはともあれ、わたしがとうとうこれを言うときがくるとは……。


キンプリはいいぞ。

2024/03/14

映画『MEN 同じ顔の男たち』感想 ※ネタバレあり

こ、これは……。うーん。傑作とも駄作とも言い難い。でも見ごたえはあった。わたしは好きだな。絶対人にオススメはできないけど。

『ミッドサマー』を彷彿とさせるシーンが多々あったけれど、制作会社がA24だからなのか、それとも狙っているのか判じがたい。

映像美が素晴らしいけれど、その美しい映像と交互に映し出されるのが「男性の不快さ」なんだよなあ。

男性の被害者意識、加害性、陰湿な報復、自分勝手な身の破滅、無意識の差別、女性を性的に求め、種を残そうとする本能。次から次へと「男性の不快さ」が繰り出される。それも巧妙で奇妙なやり方で。

なんだか頭がこんがらがってる。ちょっと整理しよう。

まずはあの衝撃的なシーンから。

男性出産……!? あれは男性性の再生産という理解で合っているだろうか。「男性の不快さ」は男性によって何度も何度も生産される、ということ? 世代を超えて、男性は同じ男性を生産し続ける……。

同じ顔の彼らは両性具有ではない。なぜならタンポポの綿毛が暗喩しているものは精子だから。その綿毛=精子を取り込んでしまったハーパーはどうなるのか?

もしかして……ラストシーンでライリーが妊娠していたのはどういうわけなのか考えていたんだけど、ハーパーの妊娠を暗示している?

それともこの映画……。もしかして、村の男たちが同じ顔に見えていたのはハーパーだけだった? だから最後に生まれ落ちたのが一番のトラウマである夫だったのだろうか。

そうか、だから女性の顔はあの男ではなかったのか。

うーん。そう考えるとハーパーが狂っていたということになるのだけれど、邪教の信仰はどうなる? あの一連の恐ろしい出来事は葉っぱに顔が覆われた邪神が、対となる女性を求めていたという説明もできる。

いやいやでも、やはり同じ顔の男たちが腕を裂かれ内臓を出され足の骨を折った姿=夫の死に様に近づいていったことを考えると、あの悪夢のような出来事はハーパーに強く関係しているということだ。

でもなあ。車が実際に破壊され、地面には生々しい血の跡が残っている現場、あれはどう捉えたらいい?

いや、これは論理的に考えるのは無粋なのかな。もう考えるのはよそう。

それにしても、ところどころで発揮される女性の狡猾さというか冷淡さというか……残酷さにはヒヤリとしましたね。

郵便受けから差し伸べられた手を取ったハーパーは次の瞬間にはナイフを突き立てた。

神父に洗面台に押しつけられ力を抜いたかと思えば次の瞬間には剣の切っ先を腹に突き刺した。

産みの苦しみに悶え苦しみながら自分を求めて近づいてくる男を軽蔑した冷めた目で見て、次の武器である斧を取りに行く。

男が同じ男でしかいられないことに苦しんでいるのに、ハーパーは軽やかに次の武器を携えて、その刃の切れ味を指先で確かめている。

この映画は「男性がいかに醜いか」だけじゃなくて、「女性に破滅させられる男性がいかに醜いか」を描いているんじゃないかな。

女性が持つ支配力に抗えない男性の悲嘆。彼らは全力で生命を賭して女性に受け入れてもらおうとする。禁断の果実を得るために。

禁断の果実は女性には簡単に手に入れられる。ハーパーは屋敷についたとたんに枝からもぎ取ってその果実を味わった。だけど男性が手に入れると速攻で警察に捕まり「縛り首にしろ!」と言われるのだ。

それにしても……なんだかセックスの暗喩にまみれた映画だったな……。そしてこれほどモザイク処理に感謝した映画はないかもしれない笑。

でも、あんなに凄惨なシーンがあったわりには驚かせ方も過剰じゃないしグロシーンはもう突き抜けて逆に迫力があって、観終わったあとは不思議とスッキリしてます笑。

一人で観る分にはいいけど、誰かと一緒に見たらちょっと気まずいかも……? いや、ちょっとどころではないか……。まだ観てない方はお気を付けください。

2024/03/11

映画『ファインディング・ドリー』感想 ※ネタバレあり

『ファインディング・ドリー』もお友だちにオススメしてもらってたんですが観るのを忘れてて……。そんな時に『ブルックリン・ナインナイン』を見てたら『ファインディング・ドリー』のネタが出てきて思い出し、無事に観ることができました。ほっ。

ドリー……。ドリーって楽観的で明るく見えるけど、本当は不安でいっぱいなんだね……。ドリーが助けを求めているのに他の魚に冷たくされているのを観ているとわたしも悲しくなっちゃって……。

ドリーは思い切って行動することで活路を見出していく強い魚なのに、もの忘れがひどいことで自分の力を信じ切れないのが切ないね。

そんなドリーのすごいとこは他の魚に全力で助けを求められることだと思う。そんなドリーだからこそ他の魚が親身になって助けてくれる。

心理学では「自立」は複数の依存先を作ることが大事だと言われていた(ような気がする)。他の魚に躊躇なく頼れるドリーはひとつの「自立」の在り方を教えてくれるよね。

わたしなんかは「自立」じゃなく「孤立」している人間なのでドリーがちょっと羨ましい。

わたしは障害者なので(障害者手帳持ち)ぶっちゃけドリーを障害がある魚として見てしまうんですが……。だからついついドリーの悲壮感に焦点を当ててしまうんだよね。

普通の魚が経験しないような困難がドリーの旅路では次々と襲ってくるじゃないですか。ふつうの魚がゼロからスタートするところを障害があるとマイナスからスタートしないといけない。左に二回曲がることすら覚えられないドリーは大きなハンデがある。

だからふつうの魚の数倍苦労して数倍努力しないといけない。普通なら疲れ果てて諦めるところでしょうが、ドリーは最後までがんばってやり遂げてほんとすごいと思った。まあドリーがちょっと変人だからできたことなのかも……笑。

それにしてもドリー親子の絆には涙が禁じ得ませんでした……。両親はドリーを信じていたんだね。あの家につづく貝殻の目印、美しすぎるでしょ……泣。

どんなにハンデがあっても、本人の諦めない意思と周りの協力で不可能に思えたことを成し遂げる。なんとも勇気づけられる映画でした。

なにはともあれ、ドリーが無事に家族と会えてよかった。

2024/03/06

映画『ハイスクール・ミュージカル』シリーズ感想 ※ネタバレあり

ここ数日で『ハイスクール・ミュージカル』『ハイスクール・ミュージカル2』『ハイスクール・ミュージカル/ザ・ムービー』『シャーペイのファビュラス・アドベンチャー』を観ました。ハッピーな気分になれた数日間だった……。

勧めてくれたお友だちに感謝。その人がオススメしてくれる作品って、笑顔になれるものが多いんですよね。それで気付いたんですけど、わたしって割とシリアスなものを選びがちだなあと。

自分のアンテナで選んでいたら手に取らないであろうものを、人にオススメしてもらうことで発見するのって楽しいです。脳の違う部位を使っているかんじがします。

それとオススメしてくれた人のことをもっと知れるのがいいですね。観ているあいだ「このシーンが好きって言ってたな」とか「このシーンのことをいっしょに話したいな」とか考えていました。好きな人が好きなものって好きになっちゃいますよね。

ぶっちゃけその人がいなかったらこの映画ってそんなにわたしに刺さらなかったと思うんですよね。実際わたしは10年前に『ハイスクール・ミュージカル』観ていたんですけど、すっかり忘れていました。

だけど好きな人が「この映画が好き」って言ったらわたしも好きになっちゃいますよ。わたしはチョロイんです。硬派を気取りたいけどだめですね。その人には滅法弱いわたしです。その人がオススメしてくれたらせっせと観てしまいます笑。

はあ、その人といっしょにこの映画観て感想言い合ったり笑い合ったりしたい……。ポップコーンとか食べながら……。

そういえば映画の感想でしたね。夢想に耽っていました。すみません。

一作目が公開されたのが2006年。18年前くらいかな。本当に、この時代に戻りたいよ……。というかこの映画の世界観のなかで生きたい。みんな生き生きとして、若くて、素直で、キラキラしていて、ひたすらハッピーで……。

それに比べて今のわたしは疲れていて、若くもなく、捻くれて、ジメジメしていて、ひたすら絶望していて……とほほ。最近心が躍ることといったら、例のお友だちと話している間だけですよ。

やっぱりミュージカルはいいなあ。ほんといい。夢を見せてくれる。この現実から逃れて、素敵な光にあふれた世界に浸らせてくれる。

あ、なんか涙がでてきた……しくしく。最近辛いことが多くて……。体調もずっと悪いし……。わたしは双極性障害なのですが、最近自分の状態がよくわからないんですよね。自分が躁なのか鬱なのかもわからない。

しかし、良くも悪くも双極性障害なので、潮目は変わります。はやく躁の時期きてくれ……。

なにはともあれ、ちょっと辛い時期ですが、この映画でひととき辛さを忘れられました。お友だちに本当に感謝です。その存在だけで救われる人生がある。

わたしとその人の人生がディズニー映画のようにhappily ever afterで終われますように。

ジェーン・オースティン『いつか晴れた日に』感想

やっと読み終わったー……。時間かかったなあ。 ジェーン・オースティンの作品は『 高慢と偏見 』と『 エマ 』しか読んでなくて、その二つがとてもおもしろかったから『 いつか晴れた日に 』を読んだんだけど。 なんというか、先述の二作品が作家として成熟した時期に書かれたものなんだろうな...