2024/07/29

岡田尊司『愛着障害』感想

愛着障害に限らず、人格障害や自閉症の本を読むと「これはわたしのことだ……」と思うんだけど、これってバーナム効果なのかな笑。

この本は自分の病理の判別に躍起になっている時期に買ったものですね。けっこう昔のことです。双極性障害の診断がおりている今となってはそこまで必要に駆られているわけでもなく……。

そうはいっても、これからも自分の性格の歪みというか世間一般との乖離については勉強していきたい。なんとなくだけど、わたしの対人関係における態度って普通の人と違うような気がするんだよな。人を気詰まりにさせる何かがわたしにはあるような気がする……。

自分の感覚って世間とそこまでズレていると思っていなかったんだけど、もしかしたら違うのかもしれない。自分ではわからないけど……。人と関わること自体が少ないから比較・参考にできる経験が不足していてわからないだけかもしれないけど。

とりあえず、この本の概要としては、幼少期に形成された愛着が大人になるまで影響し、愛着スタイルが不安定だとさまざまな弊害があらわれる、というもの。

大人の愛着スタイルは大まかに三つあり、安定型、不安型、回避型があるとのこと。これってさ……不安型はパーソナリティー障害でいう境界性、回避型はシゾイドっぽいよね。

パーソナリティー障害の発症の原因は遺伝と環境が半々だといわれているよね。愛着障害の遺伝的要因についてはわたしの記憶だと本書では記載がなかったけど……。もし遺伝要因がパーソナリティー障害と同じ割合だとしたら、どうやって判別するんだろう。

筆者は愛着障害が医療者さえ認識が遅れていると書いていたけど、パーソナリティー障害との識別が困難だからでは……? そしてパーソナリティー障害と同じく対処療法と長期のカウンセリングでしか治療できない=薬物療法ができないからでは……?

やっぱり医療だから、よく効く薬があるかどうかで人気は違ってくるよね。境界性パーソナリティー障害とか、医療者でさえ迷惑がってあまり治療したがらないと聞くし。←心理系の大学卒業しているので、そこからの情報です、あしからず……。

まあでも、同定は必要がないのか。診断名が愛着障害であろうと人格障害であろうと、愛着の問題があるならそこを治療していくんだろうし。

まあね……。いろいろ心理学の本を読んでいて思うんだけど。当事者として「この本のおかげで病状が回復した!」となったことはないよね……。純粋に知識の収集にしかならない。読んでも意味ないなあとは思うんだけど、やっぱり読んじゃうよね。何かを探すように……。

ちなみに岡田尊司の本はちょこちょこ読んでいて、『愛着障害』のほかには
人間アレルギー なぜ「あの人」を嫌いになるのか』を読んでいます。当時のわたしはめちゃくちゃ悩んでいたみたいですね……笑。

岡田尊司の著書はわりといい。こういう新書って事実の列挙をするだけのほんっとーにつまらない本もたくさんあるんだけど、岡田尊司の本はわりと人間味にあふれているから読んでいて甲斐がある。

せっかくだし読み直してみようかな。というわけで、暇を見つけて他にもいろいろ読んでいきたいです。

2024/07/25

波のはなし

波っていうのは気分のことですね。わたしは双極性障害(双極症でもいいけど)らしく、そういう波があるみたいです。

双極性障害と診断されてから一年も経ってない……のかな。だからまだ自覚というものが薄い。だけど、意識してみると波が確かにあるなあと感じる。

だけどさ、人間なら誰しも気分の浮き沈みがあるじゃないですか。高くなったら反動で低くなる、みたいな。バランスというのかホメオスタシスというのかわかりませんが、そういうものが。

そう思って生きていきたので、自分の気分の波が脳の病気でした、と言われてすぐに受け入れられるものでもないんだよなあ。家系的にはばっちりそういう因子があるので、納得はするのですが。

そもそも本当に病気なんだろうか? そうなのかなあ。薬も効いているような効いていないような……。

だけど思い当たる節はあるんだよな。気分が最高に乗っているときは、スピリチュアルにハマっていたこともあるし。友人が主催するそういうセミナーに行ったりね……。今思うと信じられない。本当に別人になってしまう感覚。

あと、ときどき敬虔な気分になって宗教について勉強し始める時期がある。その時期は「躁」なんだろうか、「鬱」なんだろうか。なんにしろ特殊な気分になっている。

今は確実に「躁」の時期なんだけど、ここ数日「鬱」のときの気分が折々に忍び込んできていて、ああ、光の季節が終わってしまうんだ……また闇の季節がはじまるんだな、としみじみした気持ち。

すこし寂しいけど、正直ほっとしている。「鬱」の方が「躁」よりずっと長い期間続くので慣れているし、どちらかというとこちらの方が本来の自分に近いと思う。

「鬱」のときの気分って言葉で言い表せないんだけど、興味がより高次で空疎なものに向かうんだよな。「空疎な」と言ったら聞こえが悪いな、「形而上学的な」と言えばいいか。

最近ふと、河合隼雄の『ユング心理学と仏教』を再読し始め、岩波文庫の『完訳アンデルセン童話集(一)』の続きを購入している。これは……兆候、だよね。ウンベルト・エーコの『薔薇の名前』を買おうとしているし。

今回の「鬱」はどうなるかなあ。ちゃんと人と関われるんだろうか?

心配なのが、最近はじめた就労先の人に明るい人だと思われてるっぽいんだよな。障害者雇用だから理解はあるのかもしれないけど。「鬱」に入ってから明るい人格を演じるとすぐ限界が来てすべて終わらせちゃうから気をつけないと。

「躁」のときに決定したことって「鬱」のときにめちゃくちゃ負担になるんだよな。特に過渡期の今は気分がまだらになっていて「躁」のときのやり方でやると思うように動けなくて躓いてしまう。

なにはともあれ、ちょっと楽しみだな。うふふ。鬱のときは鬱のときで楽しいんだよ。

鬱ってわりとずっと気分が落ち込んでいるし楽しい気分になることなんてほとんどないけど、じーっと閉じこもっているときにしか見れない世界もあるんだよな。

酒浸りになったり、映画をアホほど観たり、難しい本を読んだり。それをひとりでずーっとしている。鬱の最中は間違ってもそんなこと思えないけど、後から考えるといい思い出なんだよなあ。

またあの世界に戻れるというなら戻りたい。けど、今年は難しいかもなあ。就労があるし……。なんか最近いろんなサポートがはじまって、家に人がたくさんくるんだよな……。

とりあえず、この記事を残しておいて「鬱」の時期が来たら読み返そう。そして「躁だからそんな楽観的なことが書けるんだよこの野郎……」と自分に怒りを感じるのもおもしろいかも。

はあ、今回の「躁」も楽しかった。次の「鬱」はどうなるかな。またいつものように楽しく(?)乗り切りたいな。

2024/07/24

映画『死霊館のシスター 呪いの秘密』感想

さすが……! さすが「死霊館ユニバース」……! おっもしろかったー!

たぶん死霊館シリーズともなるとホラー映画界のなかでも屈指の人材が粋を凝らして作っているんだろうね。もう怖がらせ方が堂に入ってる。プロの手のなかで心地よく怖がるのって最高。

ホラー映画のアイディアは尽きることがない泉なのか? もう芸術の域だわ……。雑誌が風で捲られてシスターの姿になるの、見応えがあってすごいシーンでしたね。いやはや、あれはすごかった……。なんなら美しさすら感じた。

ここで来るか……!? あ、来ないか、やっぱりきたー!! ってかんじで来るかと思わせて少し焦らして期待からちょっと斜め上のものが来てくれて、ホラー映画って楽しいんだなあと思い出させてくれた。

そうなんだよな……。ホラー映画ってただ怖がるだけじゃなくて、楽しめるものでもあるんだよな。こんなに巧みに恐怖の糸を張ったり緩めたりしてくれるホラー映画、なかなかありませんよ。

そして観終わったあとに爽快感をもたらしてくれるホラー映画はいいホラー。視聴後にぐったりしちゃうホラーもそれはそれでいいんだけどね。

そしてそして、映画のラストから推察するに、もしかしてアイリーンとウォーレン夫妻の物語がより深く交差するかもしれないってこと? いやでも年代がぜんぜん違うよね。どうするんだろう……。

うーん、「死霊館ユニバース」作品はぜんぶ観てるんだけど、時系列とか関係性とか曖昧なんだよな。少し前に観たから細部を覚えてないんだよね……。アナベルが出てくるのはすぐにどれがどれか判別がつかないし……笑。

だってさ、『アナベル 死霊館の人形』『アナベル 死霊人形の誕生』『アナベル 死霊博物館』って映画を立て続けに観たとして、どれがどんな内容だったかすぐ記憶を掘り起こせますか? でも好きな人はさっと出てくるんだろうなあ……。

アナベル観た翌日に『死霊館のシスター』を観ていますね。この時期に、他にも修道院が舞台のホラー映画をいくつか観ちゃって記憶がごっちゃになっているんだよな。同じ時期に立て続けに似たような映画を観ちゃだめですね。

記録を見てみると、なんとアナベル3作品は同じ日に観てますね笑。そりゃ判別がつかなくなるわけだ。ホラーを観れるようになったのが2022年の12月なので、この月は映画35本観たうちの14本ホラーを観ていますね。

ひと月に35本! 多いな。次の月も23本も観てる。ホラーが観れるようになったのがよっぽど嬉しかったんだな。翌月の1月には23本のうち16本がホラーでした。

なにはともあれ、これからもおもしろいホラー作品がたくさん作られて欲しいですね。とりあえず『The Conjuring 4』を楽しみに待ちます。

2024/07/20

映画『ターミネーター:ニュー・フェイト』感想

前回「映画のなかの好きな女」という記事で、マッケンジー・デイヴィスが好きだと書いたんです。それでマッケンジーの他の作品にも興味を持って観てみました。

うーむ。うん、おもしろかった。でも「これぞまさしく伝説的な『ターミネーター2』の正統な続編だー!!」と狂喜乱舞する……というかんじではなかった。正統におもしろくて、正統に作られているんだけど……、20年ほど時期が遅かったのでは、ないかな……。これを言ったら酷か……。

アーノルド・シュワルツェネッガーもリンダ・ハミルトンもめっちゃくちゃかっこよかったですよ。まさに現役、観ていて爽快なくらいキマっていた。それに年月を経た良さというものも確かにあった。

だけど、個人的には『ターミネーター3』で裏切られた期待を挽回して長い年月を埋められたかというと、必ずしもそうではなかったかもしれない……。でもすごくいい線いってました。期待せずに視聴したのに、期待以上だったかもしれない。

これ、誰しもが通る道かと思うのですが、『ターミネーター』『ターミネーター2』を大興奮で観て、喜び勇んで次は『ターミネーター3』を視聴するじゃないですか。

そうしたら、冒頭のモノローグでジョン・コナーの年齢を間違っていて「あ、これちゃんと作られてないな」と直観するじゃないですか。そしてジョンの顔を観た瞬間視聴をやめた……のですが、似たような人いるのではないかな。

それからはターミネーターシリーズは2で終わったものだと自分のなかで決定して、以降のシリーズは視聴していませんでした……。

そういうわけなので、『ターミネーター:ニュー・フェイト』自体に期待を込めて視聴したわけではなかったんです。ただマッケンジー・デイヴィスが観たくて視聴しました。

マッケンジー目当てでだったので、おおむね満足、万事オッケーかなと思います。マッケンジー、すっごく良かったですねえ……。一途で真面目でちょっとお堅いかんじが……うふふ。それにスタイルが思ってたより100倍良くて目ん玉飛び出しました。

グレースとダニーの関係がレズビアン的だという噂を知り不純な動機で視聴したのですが、強い百合の香りはしませんでした。感じようと思えば感じるかな? という程度の香りでしたね。このくらいが花の香りとしてちょうどいい……。

マッケンジー目当てで観たにしろ、映画としてはおもしろく観れたので監督上手だなあと思ってチェックしてみたら「この名前、ネットフリックスでおもしろい短編映画を作ってた人ではないか……!?」と気づいて確認したらやはりそうでした。

ティム・ミラーは『デッドプール』で有名かもしれませんが、わたしは断然ネットフリックスの『ラブ、デス&ロボット』で注目した監督でした。かのデヴィッド・フィンチャーと製作総指揮をしていたんですよ。

『ラブ、デス&ロボット』はねえ……! いいですよ! わたしが好きなのはシーズン1のエピソード3『目撃者』です。これは『スパイダーマン:スパイダーバース』が好きなら好きだと思います。『目撃者』がすーっごく好きですが、他のアニメもいいんですよ、ほんとに。

話が逸れてしまった。『ターミネーター:ニュー・フェイト』の話に戻ると、マッケンジー好きなら観るべき。だけどそれ以外の動機で観る人は、『ターミネーター2』の面影を追いかけてちょっと切ない気持ちになってしまうかもしれませんね。

どんなにCGが綺麗になってどんなに整合性のある脚本が書かれても、若いときに観て衝撃を受けた映画っていつまで経っても唯一無二で最高なんですよね……。続編にそれを超えることはできない気がする。

また『ターミネーター2』を観たくなってきました……。90年代の映画がわたしはやっぱり好きだ……。

2024/07/17

映画『FALL/フォール』感想

※ ネタバレあります。

映画に集中できる時期と、それ以外に集中しちゃう時期がありまして。今は映画の時期じゃないので集中力が続かず、こんなにスリリングな映画なのに三日かけて観ました。

高いところに登ると足がぞくぞくするじゃないですか。あれを椅子に座りながら思う存分味わえた映画だった笑。

視聴中は集中が切れてしまったけど、思い返してみるとハラハラする場面が多くておもしろかったな。ずっと同じ場所が続いているから飽きそうだけど飽きなかった。いや、飽きたから集中切れちゃったのか? わからない。

ハンターのキャラが絶妙だったよね。トラブルメーカーなのに憎めない。ベッキーの夫と不倫してたのに悪者だと決めつけられない。いや、完全に悪いやつなんだけど奇跡的なバランスでいいやつになっている。

だからハンターが死んでいた事実に「ざまあみろ」とは思えなかった……。ハンターが知らないはずのプロレスラーを知っていた時に「あ、死んでたんだ」ってはっきり気づいたんだけど、悲しかったな。

イマジナリー・ハンターがベッキーを思慮深く力強く支えてくれていたのもあって、ハンターの犠牲が崇高なものになったよね。うまい塩梅に落とし込んだなあと感心しました。

それにしても、あの悪夢のシーンは怖かったな。あれ、現実だったんだね……。そりゃあイマジナリー・ハンターを作らなければベッキーは耐えられなかっただろうな。

ハンターが死んでいたことを観客にじわじわとわからせてくるのも怖かった。電球で充電するために足を怪我したベッキーが柱を登り始めたときに「あれ?」って思って、落ちていくバッグを何もせずに見送ったハンターに違和感を抱いて……。

思い返してみると、ドローンを操縦していたのがベッキーだったときに気づいてもよかったかも。

うーん。なんか、すごいバランスの上に作られた映画だと思う。発想が突飛なだけのB級映画になりそうでならない。ド派手なスリルとしっとりした喪の作業がちょうどよく配合されてる。ラストは爽快感と後味の悪さの混じり合ったなんともいえない感覚……。

この言語化できないかんじをおもしろがることができるなら、とてもいい映画だと思う。はっきり言えるのは、映像がすごくきれいで見応えがあったということかな。

おもしろかったし観てよかったけど、やっぱりなんかモヤモヤするよ……。バランスが良すぎるのも考え物だね。

でも一生忘れられないシーンを見れたという点ではすごい映画だ。だって、地上600メートルに取り残された女性二人なんて、一度見たら忘れられないですよ……。

おもしろかっただけに、あまり集中できなかったのが残念。映画を観るうえで、自分のコンディションって大事ですね。

2024/07/15

映画のなかの好きな女

前の記事で「映画のなかの好きな男」をやったので、次は女優版。


まずは……ナタリー・ポートマンかな。あの気品のある頭の良さそうな顔。最高にいい。実際に頭がいいところもすごい。ハーバード大学現役合格、6ヶ国語に堪能ですよ。それに礼儀正しく信念もある。

ナタリー・ポートマンの映画はたくさん観たんだけど、まず挙げるなら『レオン』かな。マチルダでわたしの性癖の方向性が定まったと言ってもいいかもしれない。

今書いている小説のヒロインポジションの子、マチルダに影響を受けまくっているもん。十二歳という年齢とコケティッシュな魅力のアンバランスさにわたしは囚われているんだけど、マチルダが発祥ですね。

ナタリーは『スター・ウォーズ エピソード1/ファントム・メナス』とか『ブラック・スワン』が有名かもしれないけど、わたしが一番好きなのは『終わりで始まりの4日間』です。この映画のナタリーは等身大の女の子という感じが好き。あとこの映画、音楽がいいんですよ。エンドロールでFrou Frouの「Let Go」を聴いた時は衝撃でひっくり返った。

ナタリーの演技で一番心にくるのは、泣き顔ですね。泣きじゃくるナタリーは本当にかわいそうで美しい。眉が綺麗なUの字に弧を描いてて。『Vフォー・ヴェンデッタ』や『ブーリン家の姉妹』でも号泣していたけど、泣く役柄をこんなにたくさんする女優ってよく考えるとめずらしくないか?

そうは言っても、ナタリーが身も世もなく泣く演技はこれ以降はないだろうな……。成熟した女性に成長したし。ナタリーはお年を召しても美しいので、これからもいろんな作品に出てもらいたいです。


二人目はジェニファー・ローレンスだな。この人、本当にきれいだよね。内面から光り輝いている。ご本人の普段の言動を見るにきっぷがよくて明け透けっぽいけど、繊細さが隠れているような気がして惹きつけられる。

この方は『ハンガー・ゲーム』で本格的に有名になったけど、わたしはこの作品の良さがいまいちわからなかったんですよね。演技の天才と言われているジェニファーの良さも同じくわからなかった。

演技が絶賛されているジェニファーの良さを知るために次は『パッセンジャー』を観たんですが、この映画ではわたしがクリス・プラットが好きだという再確認しかできなかった。

ジェニファー・ローレンスが好きだと明確に意識したのは『マザー!』です。この映画ね……視聴して不快になった方もいるかと思います。日本で劇場公開中止になったのは、その内容のせいなんでしょうか? たしかにこの映画はキリスト教に理解がないと意味不明の映画だと思う。

監督は気候変動の映画だと言っているようですが、創世記からイエス・キリストの誕生までの歴史、そして爆発的なキリスト教の布教、現在の世界情勢をあらわしていますよね……。そして黙示録の最後の審判までを描いている。タイトルの『マザー!』も母なる地球という意味だと思うし……。

この映画はジェニファーが発光しているように感じた。監督と恋愛関係にあったようだから、恋する女のきらめきを見れたのかもしれないね。ジェニファー本人も深く映画にコミットしているのが感じられた。

わたしはジェニファーだけでなく『マザー!』が好きで好きで……。この映画を好きだというと人格を疑われるかもしれないけれど、とにかく好きなんです。詳しく語りたい映画ですが、キリスト教の知識がある方なら自明の理なので黙ります。難解と言われているけど、すごくストレートなメッセージだったと思ったんだけど……。わたしの理解が浅いだけかな。

ジェニファー出演作品で他に良かったのは『ドント・ルック・アップ』。最初観たときはジェニファーだと気づかなかった。もうちょっと小奇麗にしてもよかったんじゃないですかね……。でも作中でティモシー・シャラメといい仲になってて湧いた。アリアナ・グランデ
の歌もよかったし。

ジェニファーの何がいいって、声ですよね。酒に焼けたようなハスキーボイス。役を演じていない、普段の話し方が一番好き。ジェニファーの作品はあまり観ていないからもっと観たいなあ。


次の女優はサンドラ・ブロック。この人は……良すぎ。良すぎる。サンドラ・ブロックの恋愛映画にハマってそういう映画ばかり観ていた時期があります。特に好きなのは……あ、決められない。『あなたは私の婿になる』も好きだし『トゥー・ウィークス・ノーティス』も好きだし当たり前に『デンジャラス・ビューティー』も好きだし他にもいろいろ好き。

サンドラの恋愛映画のすごいところは相手役も引き立てるところだと思います。サンドラはもちろんいいんだけど、相手の男優もちゃんと印象に残っている。サンドラってそういうところあるよね……。うん、何様? ってかんじですね笑。

でもサンドラ・ブロックは恋愛映画だけじゃない。『スピード』や『ゼロ・グラビティ』がもちろん良いのは当然として『デンジャラス・バディ』もよかった。これに出演していたサンドラの相棒役が『ギルモア・ガールズ』のスーキー役の人でびっくりした。ぜんぜんキャラ違う……。

そして外せないのが『オーシャンズ8』。わたしはね……つくづく自分がミーハーだと痛感しました。スピンオフのこっちのが本家よりも好きかも。サンドラ・ブロックと相棒のケイト・ブランシェットが……二人の相棒っぷりが……良すぎる。アン・ハサウェイも良かった。この映画のアン・ハサウェイが一番好きかも。

サンドラ・ブロックは謙虚に演技するんだよなあ。だから相棒が光るんだよ。サンドラ・ブロックって存在感が大きすぎるのを自覚しているのか、出しゃばりすぎない演技をするんだけど、しっかり爪痕は残すんだよな。

他にもいろいろ語りたい……。サンドラ・ブロックについては相手役のことも大いに語りたい。『バード・ボックス』や『ザ・ロストシティ』や『28DAYS』のことも言及したい。だけど結局サンドラ・ブロックは良すぎるという話に帰結するので割愛します。

でも最後に言わせて……。サンドラ・ブロックの一番好きなところはその話し方。ひそひそというか囁くような……上品さを感じる発声ですよね。もっと聞きたくなる。


最後はマッケンジー・デイヴィス。この人は『オデッセイ』のエンジニア役ですごくいいなあ! と感じ入って「どっかで観たことある……!」と思ったけどどこで観たのかどうしても思い出せなくて、そして今この記事を書くなかでWikipediaを読んで思い出しました。

『ブラックミラー』シーズン3の”サン・ジュニペロ”に出ていた人だー! はあ、すっきりした……。そうだそうだ、『ブラックミラー』のなかでも”サン・ジュニペロ”は時代背景が特別好きでもう一度観ようと思って途中まで再生していたんだ。

わたしは1980年代後半のファッションが刺さりに刺さって仕方なくて、この時代のファッションの絵を描こうと思って資料集めのために観ようとしていたんだ。完全に思い出した。

Wikipediaを読んでいると、マッケンジーはどうやらレズビアン女性のアイコンされているようで……。え、ますます興味が出てきたんですが。たしかに”サン・ジュニペロ”はそういう物語だったよね。『ターミネーター:ニュー・フェイト』観てみよう。単純ですみませんね……。

マッケンジー・デイヴィス、どうしてこうも刺さるんだろう……。『オデッセイ』でも”サン・ジュニペロ”でも眼鏡をかけていたよな。『ブレードランナー 2049』で観ていたはずなのにぜんぜん覚えていなかったところを考えると、マッケンジーが眼鏡をかけている姿にキュンときているみたいです。

あ、これ、もしかして……。前回の「映画のなかの好きな男」でもあったように、わたしの性癖なんじゃないか?

頭が良くて、育ちが良さそうな顔をしていて自己肯定感が低くて世慣れていない男が好きだと書いたんだけど、女性の場合もそういう人が好きってこと……? だって『オデッセイ』と”サン・ジュニペロ”のマッケンジーっていかにもそういうかんじじゃないか?

うわあああ。なんかなあ。ちょっとした発見だよこれは。あんまり意識していなかったんだけどな。

そういえば、いま描いている漫画の主人公もそんなかんじだな。あんまりそのキャラに愛を感じてはいなかったんだけど、性癖の男を無意識に描いていたんだろうか。もう一人の主要女キャラは性癖ど真ん中の女を描いていると自覚してはいるんだけど。

重要なのは、性癖に刺さるキャラのほとんどに相手役がいることだな。性癖ドストライクのキャラと付き合いたいというわけじゃなくて、そのキャラにはすでにパートナーがいてそのパートナーとの関係性に萌えを感じているんだろう。

こうして改めて好きなものを語っているといろいろな発見があっておもしろいですね。

また好きなキャラが出てきたら報告します笑。

2024/07/14

映画のなかの好きな男

あんまり俳優やアイドルに熱狂することはないんですが、局所的に心臓を刺されることが時たまあるので、映画のなかでキュンときた男たちについて語ってみます。


まず、キアヌ・リーヴス。若い時のキアヌが特に好きで、『マトリックス』とか『コンスタンティン』も好きだけど、『マイ・プライベート・アイダホ』がなんとなく心に残っているかも。キアヌの親友のリヴァー・フェニックスと共演しているし……。だからなのか、映画のなかのキアヌは個人的なかんじがする。

キアヌは一番楽しかった作品を訊かれて、リヴァー・フェニックスとの共演が楽しかったと答えたそうですね。バイクに乗って遊んだのが楽しかったと。映画公開の二年後にリヴァーがドラッグの過剰摂取で亡くなったことを思うと切ないです。亡くなった際、弟のホアキンも一緒だったみたいなんだよな……。

グラディエーター』や『ジョーカー』のホアキン・フェニックスがリヴァーの弟だなんて未だに信じられない。リヴァーが生きていたらどんなおじさんになっていたんだろう……。とりあえず『インタビュー・ウィズ・ヴァンパイア』に出ていたはずなんだよな。すごいことじゃないですか?

キアヌの話に戻ろう。キアヌがちょい役で出てた『ネオン・デーモン』のごろつき親父とかも印象に残っている。なんでキアヌほどの大物がこんな役で出ているんだ? と不思議に思った。何か事情があるのだろうか。

お友だちにも話したんだけど『コンスタンティン』ではキアヌの……。いや、この話はやめておこう。品位を貶めるかもしれない。品位なんてあってないようなものですが。

キアヌの何が好きかって、荒唐無稽な話をされたり無理難題を押し付けられたりしたキアヌが「こいつは何を言ってるんだ?」みたいな呆れた顔で眉をひそめて相手を見るのが好きなんですよねえ……。いやはや……。いい……。


次は『エージェント・ウルトラ』のジェシー・アイゼンバーグ。この映画、ジェシーが好きすぎて二回観たんだよな。純粋にジェシーが性癖にぶっ刺さったというだけで。同じ映画を二回観るより新しい映画をもう一本観たいというわたしが二回観た。それくらいこの映画のジェシーが個人的にドストライクすぎて……。

あるシーンで心臓を打ち抜かれたんですよ……。ジェシーがコンビニで襲撃を受けて、恋人役のクリステン・スチュワートがやって来たときのシーンなんですけどね。このシーン、何度も何度も観たから鮮明に覚えてる。

ジェシーがコンビニの外にある支柱にすがって怯えながら話すシーンがあるんです。ここのジェシーの足がね、足というか全身がくにゃくにゃで、声は震えてて今にも消えそうで、ガールフレンドに頼り切っているんですよ。

まじで……母性本能をくすぐられるどころか殴りつけられましたね。強烈な一撃で一発KO。でも、かわいいというのとも少し違う気がするんですよね。守りたいというわけでもなく。ぐちゃぐちゃにしたい、の方が近いかも。これはまさしくキュート・アグレッションですね。

この映画のジェシー(ちなみに役名はマイク)はめちゃくちゃ内気で健気でかわいいんですよ……。恋人のクリステン(役名はフィービー)のために花火を用意したりね……。ネタバレになりますが、クリステンが上を裏切ってジェシーを選んだのも納得するんですよ、それくらい可愛い男なんですよ……。はあ、かんわいい……。ほんとかわいい……。

ジェシー・アイゼンバーグは『グランド・イリュージョン』でいいなと思っていたんですけど、主人公ポジションだったわりには出番が少なかったような気がするんです。『グランド・イリュージョン 見破られたトリック』では坊主になっちゃったし泣。

それで、ジェシー不足を補うために観た『エージェント・ウルトラ』でこんな……こんな可愛い男っぷりをぶちかまされて……。完全に落ちるかと思われましたが、『ソーシャル・ネットワーク』で冷静になりました。やはり『エージェント・ウルトラ』のマイク役がピンポイントでヒットしたんだなあと……。もうあんな可憐な役はやらないだろうなあ……。

というか、なぜかジェシー・アイゼンバーグって主役級の役をやってもあんまり印象に残りませんね? 『ゾンビランド』も『バットマン vs スーパーマン ジャスティスの誕生』もあんまり覚えてない……。


次は男……とは少し違うんですが。『ヒックとドラゴン』のトゥースレスがかわいい。猫と犬のかわいいところのハイブリッドな気がする。猫のツンとした素直じゃないところと、犬の忠実でおバカなところが合わさったかわいさ。

懐くと親しみのある子なんだけどドラゴンとしては希少&有能なところもいい。もし相棒となる生物を選べるなら絶対にトゥースレスを選びたい。

トゥースレスは女の子を前にするとあほになるところがまたいいんだよな。中学生男子か? ってくらい不器用で言っちゃわるいけどキモくなるのがまた良い……。女の子って人間のことじゃなくて『ヒックとドラゴン 聖地への冒険』で出会った同じナイト・フューリーの女の子のことです。

でもトゥースレスの良さはヒックありきの良さかもしれない。ネタバレになってしまいますが、ヒックは一作目の最後に足を失くすんですよね。尾翼を失ったトゥースレスと同じように。だから二人は一緒じゃないと飛ぶことができない。そこがね、深いよね……。

人間のせいで飛べなくなったドラゴンが人間のおかげで飛べるようになり、そしてドラゴンに乗って飛ぶことができるようになった人間がドラゴンのせいで足を失くす……。運命、という感じがしませんか。二人は運命のパートナーなんだ……。


あとひとり、映画じゃなくてドラマでキュンときた男を紹介してもいいですか?

ブルックリン・ナイン-ナイン』のアンディ・サムバーグです。この人ジェシー・アイゼンバーグと顔の系統がちょっと似ていると思いませんか? そして早口で軽薄でASDかADHDのオタクっぽい役柄が多い笑。

わたしが好きなシーンはシーズン7のエピソード6で、アンディ演じるジェイクが妻のエイミーと妊娠計画について話し合うシーンで、エイミーにマリオパーティでジェイクが激怒していたことを指摘されたときですね。

「I'm just saying, Wario cheats.  It's a stupid game.」って小声でぶつぶつ言うシーンがね……好きすぎて。この言い方が普段のキャラと違ってナイーブそうでめちゃくちゃ刺さりました。

アンディ・サムバーグは『パーム・スプリングス』もよかった。この映画、オチが笑えて最高なんですよね。ループものなんですけど、そうやって解決するんだ!? って可笑しくなっちゃう。



こうして書いてみて気付いたんですけど、わたしはジェシー・アイゼンバーグやアンディ・サムバーグみたいな顔の男が女性に対して気弱そうにひそひそ話すのがすっごく好きみたいです。なんだこの性癖は……。

なよなよした男が好きというわけではないんですよ。ジェシー・アイゼンバーグとかアンディ・サムバーグってすごく横柄な役をやったりしていて、その文脈ありきでウブな役をやった時に刺さるんです。

まとめると、育ちが良さそうな顔をしていて自己肯定感が低くて世慣れていない男が好きなんだと思います。そういう男と付き合いたいというより、そういう男の横っ面をひっぱたきたい。いやなんなんだこの性癖。

あ、あと重要なのが「頭がいい」という要素。わたしは救いようがないほどサピオセクシュアルなので……。この指向のせいで今まで苦労しました……。サピオロマンティックではない、という点が重要ですね。うん、これを深掘りするとわたしの遍歴がつまびらかになってしまうからやめよう。

うーん、思ったより赤裸々な性癖の開示になってしまったような気がする。まあいいか。

というわけで、映画のなかで好きな男を四人(三人と一匹?)あげてみました。これ女優バージョンもしてみたい気がする。気が向いたらします。

2024/07/11

映画『女神の継承』感想

以下の感想、この映画が好きな方は読まない方がいいかも……。褒めと不満が交互に出てきます。いや、文句が多いかな……。あと、汚い話が出てきます。ネタバレもあります。

ちょっと間を空けますので、読みたくない方は離脱してくださいね。











おい……! おい! 画面酔いの甲斐がある映画であってくれよ!! ひっさしぶりに食べたフルーツをぜ~んぶ吐いちゃったんだぞ! うう、くそ、まだ気持ち悪いわ……。せっかくのフルーツの栄養素がムダになっちゃった。高かったのに……。

昼ごはんとおやつのフルーツと夕方のお酒、これらをすべてトイレにリリースした代償に見合う映画だったかと言われると……。ギリギリ……アウトかな。

まあ、お酒を飲んでこの映画に臨んだわたしが悪いと言えるかもしれない……。しかし、モキュメンタリーなんて聞いてないもん。夜ごはん食べる前でよかった!

まったく……。ちょっと文句を言いたいのですが。モキュメンタリー映画、みんな過剰に評価しすぎじゃないですか?

カメラを止めるな!』しかり『ブレア・ウィッチ・プロジェクト』しかり……。評判がめちゃくちゃ良いから観てみたらモキュメンタリー。粗削りで新奇で奇抜でおもしろいっちゃおもしろい。

だけど、映画としての完成度はお粗末な気がするんですが……気のせいですか? 前評判の良さで期待したわりに肩透かし食らうことが多いかも。

確実におもしろいことは確かですよ。映画の手法としてめずらしいし観ておくべき映画だと思うし、こういうのもなくちゃねって思う。

だけどなあ。そのおもしろさって「インディーズ映画にしてはおもしろい」っていう褒め言葉と同じではないですか。ちょっと過激すぎるかな。言葉が強かったらごめんなさい……。

とにかくこの手の映画は、画面酔いが酷すぎて頭がクラクラして正当な評価が下せない。新しいものを見せてくれたという衝撃はあるからおもしろいと押し切られてしまう、ような気がしてきた。

女神の継承』なあ。うーん。うーん。タイという異国感は新しい。だけど……そこで独自の怖さを表現できているか? となると首を傾げざるを得ない。

いや、めっちゃ怖かったですよ? だけど既視感が拭えない。モキュメンタリーでいうと『パラノーマル・アクティビティ』4作と『REC レック/ザ・クアランティン』(本家は観てない)、『テイキング・オブ・デボラ・ローガン』を観ただけのニワカですが、そんなニワカでも既視感があった。

モキュメンタリー映画のなかではおもしろいのかもしれませんが、そもそも母数が少ないですからね……。

というか、モキュメンタリーってどうして前半がつまらないんでしょうか……。後半との落差を狙っている? あと、どうしてホラーのモキュメンタリーはぶつ切りで破綻して終わるんですか……。これは性質上どうしようもないことなのか?

とにかく言いたいことはたくさんある。だけどいいところもたくさんある。そこに目を向けてみよう。

まず、ミンの女優の演技がよかった。ニムの女優もリアリティがあってよかった。それに、既視感があったと書いたけど、よく考えてみるとあの不快な湿度は洋画には出せないな。

泥酔、不特定多数とのセックス、生理用品、使用済みコンドーム、近親相姦、失禁、犬の殺生等々……挙げるときりがないくらいの不快なものがわんさと出てきて、タイの湿度と合わさってなんともいえない気持ちの悪さを演出していたよね。

この映画を観たとき、わたしの住んでいるところもじめじめした蒸し暑い雨の日で、それも相まって吐いてしまったのかも……。

そしてこんなに人が死にまくる映画だとは……。ニムが死んだときは驚きました。ストーリーの希望であるニムが死んだ時点で全滅エンドかなあと予想がついてしまいましたね。

こう考えてみると、掟破りの不快さを延々と繰り出してくるのってアジア映画にしかできないのかも。そこをおもしろいと思うことができれば、この映画ってめちゃくちゃおもしろい。

不快だったり下品だったりすると眉をひそめてしまっていたのですが、これからはその方面も楽しめるようになれば、楽しみの幅が広がるのかな?

というかこの映画130分もあったのか! なら断然おもしろい映画だわ! すごく短く感じた。キラキラの虹をトイレに放出するインターバルを挟まないといけないけど、それを抜きにしても中だるみを感じなかった。

高価で貴重なフルーツがムダになった恨みでこの映画を過小評価してしまっていたのかもしれない。

うん、おもしろい! けど画面酔いのせいで具合悪い!

なにはともあれ、変なテンションになる映画でした。

2024/07/07

好きな映画ランキング【ジブリ部門】

いろんなランキングに引き続き【ジブリ部門】をやってみたいと思います。

ジブリは24本しか観ていないので、5位までのランキングにしますね。

【ジブリ部門】

1位:風立ちぬ
2位:紅の豚


1位と2位が飛行機の話ですね。森博嗣の『スカイ・クロラ』シリーズを読んでから、わたしは戦闘機に憧れを抱いていまして……。一時期戦闘機の画像を狂ったように集めていたなあ……。

風立ちぬは堀辰雄の原作もよかったです。まあ、ジブリのものとはぜんぜん別物の話ですが。

曲りなりにも絵を描く人間として、ものづくりをする人の話は他人事と思えないというか……。自分がものづくりをしているなんて大層なことは言えないですしおこがましいですが。

公開した当時、この映画を観て「宮崎駿は個人的な映画をようやく作れたんだなあ。よかったね。もう悔いはなかろう」と祝福していたんですが、後年さらに個人的な『君たちはどう生きるか』が作られて驚きました笑。

紅の豚』も宮崎駿のロマンが詰め込まれているけどきっちりエンタメとして昇華されていていい。アドリア海が美しくてどこかノスタルジックで好きです。ポルコ・ロッソとマダム・ジーナの大人のほろ苦い恋愛の風味が舞台とマッチしていてね……。

3位の『天空の城ラピュタ』はエンタメとして完璧すぎて感服せざるを得ない。伝説ですよね。空から女の子が降ってきて冒険がはじまるなんて……完璧すぎる。

もののけ姫』は公開された当時姉妹で熱狂してました。関連本とかをはじめて読んだ作品かも。森の中でこだまが佇んでいるジグソーパズルを買ってもらってやったんですが、細部まで描き込まれているのがよくわかった。

5位の『風の谷のナウシカ』は言わずもがなですね。もう何も言えません。

5位までにしましたが、『千と千尋の神隠し』も『耳をすませば』も『崖の上のポニョ』もランキングにいれたい。

たぶん、それぞれの映画にそれぞれの思い出がジブリを観た人全員にあるんでしょうね。

崖の上のポニョ』は今まで観た映画で最速で涙した作品かも。冒頭の方で魚がわーっと画面いっぱい泳ぐじゃないですか。映画館で観て、あそこで涙がだばーっと流れました。アニメーターが命を削って描いたのが伝わると涙が出ますよね……。

千と千尋の神隠し』はいろいろ考察が出ていますよね。それで流布している説に、ハクは千尋の死んだ兄だというのがあるじゃないですか。あれ、ぜんぜん違いますよね。なんでそう思ってしまったんでしょう……。

その説の元となった解説では、論拠として回想シーンで川面に伸びる子どもの手は白いシャツを着ていて川に落ちた千尋は裸だから、水に伸びる子どもの手は兄で千尋を助けて死んだのだと言っていたのですが。

まず、なぜ千尋が裸だったかというと、魂の存在になっていたからじゃないですか? だから見えないはずのニギハヤミコハクヌシが見えているんだと思います。

そもそも、論拠となった回想シーンを千尋が思い出したのは昔溺れたときに今ハクの背中に乗っているのと同じように川でハクに助けてもらったからであって。

もし兄が千尋を助けたんだとしたら、兄は水に飛び込んだとたんにニギハヤミコハクヌシになって千尋を助けたということになりますが、違いますよね……。

千尋が迷い込んだ日に神であるハクの姿が見えていたのは、あの入口のトンネルを抜けることによって魂だけの存在になるからだと考えると、ラストシーンで千尋の記憶が消えていたことも辻褄が合います。

現世に帰るときにあのトンネルを逆に抜けることで、魂が肉体を纏う。その肉体はトンネルを抜けたときのままなので歳を取っておらず記憶もない。肉体に記憶はないけど、魂はトンネルの向こうで起こったことを覚えている。

そういう話だと思ったんですけど……。まあ、千尋の兄がハクだなんて面白い仮説なので飛びつきたくなる気持ちもわかります。なぜかジブリは都市伝説みたいにされやすいですね笑。

なにはともあれ、宮崎駿が生きているときに生きていられてわたしたちは幸運です。いつまでも作品を作っていただきたいですね。

あさのあつこ『バッテリー』感想

ここ数日間、本当に『 バッテリー 』のことしか考えてなかった。一日に一冊、時に二冊読んでいて、さっきⅥの完結編を読み終わったのですが、この、行き場のない気持ちをどうすればいいのか、わからない。 感想ブログなんてものをしているわたしだけど、実は読んでも感想を書かない場合もあって。 ...