2024/08/25

映画『ブレイド3』感想

ブレイド2』がおもしろかったから『ブレイド3』も期待して観たんだけど、うん、おもしろかった。期待以上かと問われたら必ずしもそうではなかったけど……。

というか、ブレイドシリーズの脚本書いてたデヴィッド・S・ゴイヤーが今回監督をしていたんだけど、ゴイヤーさん、めちゃくちゃすごい映画の脚本書いててびっくり。

ダークナイト・トリロジー』とか『ドクター・ストレンジ』、『ゴーストライダー』とかの脚本を書いている。まじか……。いまやすごい売れっ子なんだ。

バットマン vs スーパーマン ジャスティスの誕生』『ターミネーター:ニュー・フェイト』では原案・脚本・製作総指揮。そっかあ……ふむ。なんとなく雰囲気がわかってきたかも?

今回の『ブレイド3』、前作に比べてダークだなあと思っていたんですが、ゴイヤーの作風なのかな。雰囲気がどことなく重かったり、登場人物がけっこう陰惨な殺され方をしてたから……。

そんな重苦しい雰囲気の中でライアン・レイノルズがひとりでおちゃらけ担当してがんばっていましたね。彼がいなかったらおもしろさ半減していたかも。

そしてとうとう、ウィスラーが、死んだ……。ブレイドを息子だと思っているとか言い出したからいよいよか……と覚悟していたら、あっけなく散りましたね。だけどもう悲しくなかった。一回蘇ったからもう十分かな、と思って。

今回の宿敵はヴァンパイアの始祖だったわけだけど。正直、最後の戦闘シーンは尻すぼみだったかな……。いまいち盛り上がりに欠けた。カタルシスがなかったね。

ふむ……。なんか、映画作りって不思議だよね。脚本は当たり前に上手い。金も時間もかけてる。登場人物も興味深い。撮影はプロが仕切ってる。すべてがきちんと準備され、全員がおもしろいもの作ろうとしている。はずなのに。

なぜ、個々の映画によっておもしろさが違うんだろう……。すべての映画がおもしろくなるはずなのに、おもしろくない映画があるのは何故なんだろう。おもしろさの決め手が監督の手腕なんだろうか。

今回の映画はチグハグな印象を受けたんだよな。派手で見栄えのいいシーン、緊迫のシーン、衝撃的なシーン、それぞれを切り貼りしているような。全体として統一感に欠けているというか。

それに比べると、上手な監督が撮った映画って全体のトーンが調和しているというか、一本芯が通っているような気がする。絶対揺らがない硬い中心点がある、みたいな。すべてが映画という一本の世界を貫いて収束し、ラストのカタルシスまで繋がっている。

この映画がそういう一本筋の通ったいい映画だったかというと、そうだと断言できないなあ……。そういうわけで、ちょっと物足りない映画だったかもしれない……。

わたしたちは確かに派手なカーチェイスを求め、アクションを求め、剣戟を求めている。だけどそれだけじゃ満足できない。もっと何かが欲しい。その何かが具体的に何かといわれたらわたしもわからないですけど……。映画って奥深いですねえ……。

『ブレイド』はもうすぐリブート版が公開されるから、そちらも注目ですね。果たしてどうなることやら……。

2024/08/24

映画『ブレイド2』感想

ブレイド』を観たあと、『ブレイド2』は別に観なくてもいいかも……と思っていたのですが、ギレルモ・デル・トロが監督しているとのことで……それは観なくちゃね。そして観てよかった。一作目よりおもしろいってどういうこと?

一作目より二作目がおもしろい映画に関する忘れられない記憶があって……。『ブレイド2』とぜんぜん関係ない話ですが。

オーストラリアにワーホリで滞在していたとき、オージーの恋人が「一作目より二作目の方がおもしろい作品は『ターミネーター2』しかない」という話をしていて。わたしが「いや、『ダークナイト』がある」と指摘したとき、その人がわたしを見直したことが伝わって、それがすごく心に残っています。

年が30歳ほど離れていたので彼はわたしのことをどこか子どもみたいに思っていたのが、その会話があってから対等に見るようになったというか。わたしは英語が拙いので知能も低いと思われていたと思うんですよね笑。だけどその映画の話で、わたしにもちゃんとした見識があると知ってもらえたような気がしました。

長々と何の話をしてるんだ、ってかんじですが笑、とりあえず二作目の方がおもしろい映画に『ブレイド2』が加わったという話です。

今日も元気にネタバレしますので、わたしと同じくネタバレ恐怖症の人は逃げてください。





ウィスラーが復活した! ブレイドとウィスラーのコンビが好きで、ウィスラーが死んで悲しんでいたので復活して嬉しい……かと思いきや。ちょっと不穏な雰囲気を感じ取って手放しで喜べなかったです、最初は。

ウィスラーが裏切るかと思ってた……けど、なんと裏切り者はスカッドだった! そしてスカッドがノーマン・リーダスだった! わたしは『ウォーキング・デッド』を観たことがないので初めて演技しているノーマン・リーダスをまともに観たのですが、イケメンすぎてイケメンすぎて……。

スカッドが映っているときは字幕の文字が読めなかったです、ノーマン・リーダスを見るのに忙しくて。ノーマン・リーダスを見るためだけに『ウォーキング・デッド』を観たくなるほどイケメンだった。

ノーマン・リーダスにだけ興奮していたわけじゃないですよ。ストーリーも好きだし、アクションも好きだし、演出も台詞もラストも好きだった。

あ、そういえば、ドニー・イェンも出てた! ドニー・イェンがアクション指導していて、請われて出演もしたらしいですね。ドニー・イェンのおかげであのおもしろいアクションシーンが撮れたということか……。本人はハリウッドの撮り方とかシステムに不満だったみたいだけど。

アクションシーンおもしろかったなあ……。銃も思いっ切りぶっ放して敵も大群で押し寄せてきて人は飛ぶわ爆発するわで見応えがあった。

見応えといえば、リーパーの造形も神がかってましたね。さすがギレルモ・デル・トロ。好きそうだもんね、ああいうの。リーパーの解剖シーンとかギレルモ風味が香ばしくて微笑んじゃいました。

裏切りもいっぱいあって飽きませんでした。ヴァンパイア側も裏切り者ばかりだし。ブレイドもヴァンパイアを裏切ることを隠しもしないし。でもスカッドが裏切るとはわからなかったなあ……。てっきりウィスラーが裏切ると思ってた……。

ニッサも裏切り者だと思っていたんですよ。しかもリーパーズ側の。ノーマックに捕まったとき殺されなかったから。だけどあれってノーマックが妹を殺せなかったということだったんだ……。

今回めちゃくちゃ脚本よかったですよね? デヴィッド・S・ゴイヤーが一作目から引き続き脚本書いてたらしいですが、三作目はなんと彼が監督もするみたいで今から楽しみです。

ギレルモ監督はアメコミらしいノリで撮ってくれてワクワクしたんだけど、デヴィッド・S・ゴイヤーが撮ったらどんな作品になるのかな?

明日にでも観ようかな、『ブレイド3』。

2024/08/17

映画『ミッション:インポッシブル/デッドレコニング PART ONE』感想

はあー! おもしろかったー! この映画二時間半以上あったんだ。ぜんぜん長く感じなかった。さすがだね、おもしろいね。なんか原点回帰なおもしろさだった気がする。

さっそくネタバレしますので、嫌な人はすぐ逃げてください。





イルサ……。イルサが……。死んだ……。けっこうあっけなく死んでしまった……。……でも、わかる。イルサは死ななければならなかった。なぜなら完璧すぎて、これ以上伸びしろがなくなってしまったから……。

イルサの役どころでおもしろい関係性はぜんぶやり尽くしてしまった感じがする。イーサンの恋人として非業の死を遂げることしか、彼女の役目はもう残されていなかった……。

イルサと入れ替わりで、生意気で危ういスリの女性が新人として入ったわけだ。彼女が入ってから、やっぱり新しい風が吹き込んだかんじがするね。イルサは大好きだけど、新人のフレッシュさがここら辺で必要だったなって感じる。

B級モンスター映画を観たあとだったから、本格アクション大作映画が身に染みたね……。わたしが求めているのはこれよ……。このハラハラドキドキ、映画に没入できる体験がしたいのよ……。

カーチェイスすごかったですねえ。個人的におもしろかったのは狭い路地での戦闘。いろんなアクションを撮ってきただろうに、まだまだアクションのアイディアって出てくるものなんですね。

でもやっぱり後半の列車でのあれこれがおもしろかった。あの崖から飛び降りるアクションの舞台裏を撮った9分くらいの映像を観たんだけど、トム・クルーズは改めて超人だと思った。

あのシーンを観たとき、まさか実際に飛び降りてないよね? と思ったんだけど、まじで飛び降りててびっくりした。トム・クルーズは映画の撮影中に死にたいんだろうな。うん。そうとしか思えない。

トム・クルーズ、今回の映画でも走りに走って身体張ってましたね……。いやはや、トム・クルーズがまたムチャをしているというだけで観る価値がありますね。もうそのレベルまでいっていますよ、あの人は……。

次作ではさらにムチャなアクションに挑むとのことで、すごく楽しみです。だけどどうか映画撮影中に死なないでくれよ……。ベッドの上で大切な人たちに見守られながら眠るように老衰で亡くなってくれ……。

映画『MEG ザ・モンスターズ2』感想

今日も今日とてネタバレしますので、ネタバレ嫌な人は離脱願います。そして、今回手酷くこき下ろしてます。この映画を好きな方も離脱願います。





いや、まじで……昨日観た『レディ・バード』はあまりに真に迫っていて何度も視聴をやめようとしたけど、今日観た『MEG ザ・モンスターズ2』はあまりにつまらなくて何度も視聴をやめようと思った。

はあ~……。どでかいため息でちゃいますよ。この映画……もう観る前からB級感が漂っていたんですよ。絶対おもしろくないとわかっていたんですよ。それでも観た理由はふたつ。

まずひとつ。以前、とある映画サイトで考察記事を書く仕事をしたことがあって、そこで書いた記事のひとつが『MEG ザ・モンスター』だったんです。記事を書いたくらいだからけっこうしっかり観ていて思い入れがあったので、続編も観ようかなという気持ちになった。

ふたつめ。ネットフリックスの評価が異常によかったんですよ。98パーセントだったかな。だから意外に思って観てみたんですけど……そりゃあ中国が絡んでるなら、やるよね、評価の操作くらい。

もうね、はあ~……。二回目のため息もでますよ。しょーもない。アメリカと中国合作でしたけど、もうほぼ中国映画ですね。どんだけ金を出したらあんだけ映画に干渉できるんだ。

中国の感性って古いんですよね……。そしてジャッキー・チェンのパクリしかできないの? もう後半はコメディ映画になってましたよ。でもコメディと滑稽って似ているようで全然違いますからね。滑稽になったらダメでしょ。呆れました。

ジェイソン・ステイサムも大変だよね……。中国映画でヒーローやんなきゃいけないんだもん。滑ってる人の筆頭みたいになっちゃうじゃんね。滑稽集団を率いる滑稽ハゲになっちゃう。

もう文句を言いたい箇所をひとつひとつ挙げていったらキリがないんだけど、とりあえずいくつか挙げてみる。

まずキャスティング。まじかよ。こんだけ中国人贔屓しますか。中国人は全員クソがつくほどの善人で死なない(悪役とモブは死ぬけど)。冷めるわ……。

しかも、気持ち悪いのが今回のヒロインポジションは14歳の女の子。なんか老けた顔してるのにお団子作っててアンバランスで薄気味悪い。しっかり者の天真爛漫完全無欠の善人様でオジサマたちに可愛がられる子……ew。続投はすごいけどさ、もうちょっと画面映えする子にしてもよかったのでは……。

そしてジウミンも気さくで勇気凛凛完全無欠の善人様。つまんな……。前半はステイサムを差し置いて活躍しすぎでしょと思ったけど、後半はジャッキー・チェンもどきになってたから仕方ないか。アクション俳優らしいけど、カッコいいアクションシーンじゃなくて面白シーンしか印象に残ってない……。

ジェイソン・ステイサムがメイインに言った「You know I love you」を日本字幕では「娘と思ってる」って訳してあったの見てちょっと笑った。苦し紛れだな。まあわかるけど。14歳の女の子にあのシーンで「愛してる」ってそのまま訳したらいろいろ不都合な誤解を招きかねないもんね。

それにしても、メグがなんかちっちゃくなったね? 前作ではデカいのがわりと伝わっていたんだけど。今回はそんなに巨大さを感じなかった。デカいサメ映画としてそれでいいのか?

はあ~……。三回目のため息でちゃいましたよ。なんかね、つまらなかったところを挙げるために映画を脳内で思い出していると、たくさんありすぎてちょっと疲れちゃって。

悪役の死に方とか、一昔前の映画じゃないんだから……あんないかにも「ざまあみろ」みたいな殺し方、下品だと思わないの? どういう感性してるんだか……。ああいうの見て中国人は喜んでいるのか? まあ、喜んでいるんだろうな……。

まあね……。いいんじゃないですか? サメ映画だし……。もうこの一言ですべて許せる気がする。サメ映画なら仕方ない。

これ、3もありそうだな。もうここまできたら、後半のドタバタ大盤振る舞いギャグ映画の雰囲気で突っ走っていってほしい。そしたら文句を言いながらも観るから。

2024/08/16

足に本が触れたとき

さっき初めての経験をしたので、記録に残したい。表題のとおり、足で本に触ってしまった。

読んでいる人にはなんのことかわからないかもしれない。いや、書いてある通りなんだけど。とりあえず経緯を記す。


図に示すとおり、わたしはベッドの足側で壁を背にして本を読んでいた。ふと眠くなって、いつのまにか傍らに本を置き、身体をずらして枕に頭を乗せた。ウトウトとしてふいに足を移動したら、足が何かに触れて、「?」と思った次の瞬間それが本だと気づいて鳥肌がたった。

なんだか不思議な心地がしたんだよな。禁忌を冒しているような。お地蔵さんを足蹴にしているような。女体の肉に足をうずめているような。なにか尊いものに裸足で触れている感覚。

考えてみたら、足で本を踏んだことって今までにない……と思う。レベルが違うかもしれないけれど、踏み絵ってこの感覚を極大に引き伸ばしたものなのかな。

聖なるものを裸足で踏み荒らす背徳感って、決して不快な気持ちだけではない……と正直に言って思った。身体の奥底から震えがくる。それは甘美といってもいいかもしれない。

しかもそれが、図書館から借りた本だったんですよ……。自分のものならまだしも、神聖なる図書館から借りた本に、わたしは足で触れてしまった。責められても仕方がない。

左足に少し触れただけで、本は物理的に損なわれたわけではない。だけど、この本を黙って返していいものか……。

かといって、「足で触れてしまったので弁償します」と図書館員さんに申告するか? 頭がちょっとおかしいと思われないかな。

うわあ。まだ左の足先にあの感触が残っている。足がしびれたみたいになってる。

この罪をわたしは抱えてこれから生きていくんだな。その罪を犯したときに否応なく生じたあの戦慄の記憶とともに……。

お盆の最終日にすごい体験をしてしまった……。おそろしい。本当にぞっとする出来事でした。

2024/08/15

映画『レディ・バード』感想

レディ・バード』……これね……一見害のない青春映画のように見えますが、大いにえぐられた……。観るのちょっと辛かった。それだけ素晴らしい映画だということです。素晴らしい。素晴らしかった。

名作のひとつの指標って、「自分の人生を描いている作品だと感じる」ことだと思うんです。この映画は、たくさんの人の人生の一場面を思い起こさせたんじゃないかな。

途中で何度視聴をやめようと思ったことか……。自分の個人的な人生を想起させる場面が多くてちょっと辛くなったし、クリスティンのパーソナリティが生々しくて見ていられなくて……。それだけ描写力がすごいということですよ。

リアル。すごくリアルなんです。生身の人間としてのクリスティンの生活を垣間見ているような。真に迫っている。レディ・バードと名乗るクリスティンは決して平凡な人間じゃない。なのに、平凡なわたしと重なる部分がたくさんあると感じる。

それと同時に、エキセントリックなレディ・バードの冴えない青春に魅せられる。講演会ではっきりと自分の考えを言い、馬鹿げた嘘をつき、犯罪スレスレのいたずらもする。親を騙してでも自分の望みを叶えようとする。

最初はなんて性格の悪い子なんだ……とちょっと引いてたんだけど、最後にはちょっと好きになってた。大好きにはなれなかった。それって自分自身への評価に似ている。わたしは自分のことを大好きとは言えない、だけど多少好きになれる部分もある。そんなかんじ。

お母さんの描写もすごくて……。わたしの母親もああいうところあるわ……。ちょっとここらへんは地雷なので心の防衛機制が働いているのか、感想が出てこない。だけどすごいよ、あの母親像を描き出したのは。

スタインベックの『怒りの葡萄』のテープを二人で涙を流して聴いて、次の瞬間には喧嘩してレディ・バードは車から飛び降りるんだもん。このオープニングが二人の関係を象徴しているよね。

母親と娘の共依存的な関係。仲が悪いのに一緒に服を買いに行くのとかまさにそう。ちょっと気持ち悪いくらい母娘の関係を正確に描写している。

母親に対する憎しみと愛情が混在しているクリスティン、何も知らないで自分のことばかり考えているクリスティン、自分の意思を貫き通して進学し、泥酔して搬送された朝に、心細くなって家に電話して不安そうに辺りを見回すクリスティン……。

揺れ動く青春の自意識をこれだけ克明に映し出して露悪的にならないのは監督の手腕かな。女性監督らしいんだけど、女性だからこそ描けたのかもしれない、この映画は。高ぶりすぎず、落ち込みすぎず、没入しすぎず、だけど引きつけられる。このバランスと距離感がすごく上手い。

友人、彼氏、先生、家族、それぞれの関係性……サクラメントの狭い世界で生きているレディ・バードの生活を映し出したこの映画のなかに、必ずどこかに観た人の心に刺さるものがあると思う。

いやはや、小品ではあるものの、とても心に残る映画でした。ひさしぶりに絶賛しちゃった。途中で辛くて観るのやめようかと思ったけど、最後まで観てよかった。

映画『マンマ・ミーア!ヒア・ウィー・ゴー』感想

しょっぱなからネタバレしてますよ。すこし間を空けますね。ネタバレ嫌な人は回避願います。








なぜ……。なぜドナは死ななければならなかったんだ……。『マンマ・ミーア!』の続編にわたしたちが求めているものは映画を観て幸せな気持ちになることであって、亡き人を偲ぶ悲しみに浸ることではないのですが……。

メリル・ストリープがどういう理由でああいう出演になったのか……。もちろん、映画のラストで彼女が出てきてとても盛り上がったけど、同時にとても悲しくなったよ。メリル・ストリープが前作のように最高な母親を演じているところをもっと観たかった。

前作を観てからすぐに『マンマ・ミーア!ヒア・ウィー・ゴー』を観たからなおさら落差が激しくて……。こんな気持ちになるなら観なければよかったかもしれない。リリー・ジェームズが出ようとシェールが出ようと、メリル・ストリープの穴は埋められないよ。ごめんなさいね、感情的になっちゃって……。

なんだかなあ……。続編は大規模なダンスシーンとかあってたしかに豪華なんだけど……、わたしは前作のみんなが自由に踊っているかんじが好きだったな。下手でも揃ってなくてもすごく楽しそうで、見ているだけでハッピーな気分になれた。

前作はこじんまりとした手作り感も素敵だったし、キャストもみんな幸せそうに日焼けして歌って踊って笑って、とても楽しそうだった。映画を観た幸せな時間をもう一度味わいたくて続編を観たのに、どこか湿っぽくて暗くて、コメディなのに底抜けに明るくない……。

あ、もしかして原作ミュージカル準拠……? いや、ミュージカルに続編はないはず。うーん。やっぱりメリル・ストリープが出てないと『マンマ・ミーア!』じゃないよ。いや、出てたけど、最後の最後にイマジネーションとしての出演とラストの歌唱シーンだけだったし……。

続編は続編でよかったんだけどね。たしかに、いくら観客が望もうともう一度同じ内容の映画をやるわけにはいかないよね。よし、気持ちを切り替えよう。この記憶はとりあえず遠くに押しやろう。

……。いや、やっぱり割り切れないよ。『マンマ・ミーア!』が最高だっただけに……。続編のあの扱いはメリル・ストリープ本人の希望だったんだろうか。それならまだ納得できる。もしそうじゃなかった場合はショックだよ。あんな脚本を読んでメリル・ストリープがどう感じたか……。

いや、メリル・ストリープが希望した可能性が高いな。だって制作側としてはメリル・ストリープを前作通りメインに据えて映画を撮りたいと考えるはずだ。だけどそれが叶わなかったから、メリル・ストリープ以外の見所を作るために大枚はたいてシェールを呼び寄せたんだろう。

シェールはたしかにすごかった。『バーレスク』でしかまともに観たことないんだけど、顔が変わってなくない? たぶん映画を撮った頃は70歳くらいのはず……。でもわたしは恥ずかしながら寡聞にしてシェールのすごさがいまいちわかっておらず……。わたしより年下でシェールが出てきて湧く人っているのかな……。

あ、そうか。続編って若い人がターゲットじゃないんだ。そっかそっか。前作から10年経ってるからな。前作を観て感動していた若者もいい年になっているよね。なるほど、だから「底抜けハッピー!」にしなかったんだ。そうだよね、人生は得てして薄暗くなっていくものだから……。

そうか……。わたしは『マンマ・ミーア!』の視聴者って若い女性を想定していたんだけど、作中のメリル・ストリープくらいの年代の女性もターゲット層だよね。そりゃそうか。ああ、だからドナの若い頃を続編でやったのかな……。その年代の女性にとっては懐かしいだろうしね。

でもなあ。リリー・ジェームズはメリル・ストリープの若い頃を演じるにあたって、ドナの役柄を再現しようとがんばったんだろうけど、いまいち……好きになれなかった……ごめんね。リリー・ジェームズの『シンデレラ』もいまいちはまらなかったんだよな……。

なにはともあれ、メリル・ストリープの偉大さを再確認しました。こうして愚痴でもなんでも吐き出していくと、落としどころが見つかるからいいですね。

2024/08/14

映画『ジュラシック・ワールド/新たなる支配者』感想

これを観る前に『ジュラシック・ワールド』『ジュラシック・ワールド/炎の王国』を観ようかなーと思ったのですが、けっきょく観なかったんです。そうしたら思いのほか前作の内容を忘れていてぜんぜん話についていけなかった……。

ジュラシック・パーク』から続くシリーズは『ジュラシック・ワールド/新たなる支配者』で終わりなのかな? 有終の美を飾ったのではないでしょうか。かろうじて……。

やっぱりね……映画を観る人って、多かれ少なかれ懐古厨みたいなところがあると思うんです。自分が若い頃に観た映画が一番ワクワクしたし、一番おもしろいと思っている。いかにCGが進化して恐竜がリアルになろうとも、子どもの頃に観た『ジュラシック・パーク』には敵わないと思ってしまう。

それにしても、恐竜の映画ってこれで終わりかもね……。もう面白いことはやり尽くしてしまったような気がする。俳優が隠れて息をひそめているところに恐竜がゆーっくりと隙間から覗いて大きな牙が見える、とかクライマックスは最強の恐竜同士が戦って大暴れみたいなの。

そう思うと、サメ映画はすごいかも。年々新しい映画が出てきて細々と、だけど脈々と歴史が生まれ続けているではないですか。

ジュラシックシリーズが一応の終わりを迎えたことで、もしかしたら恐竜映画もサメ映画のように手を変え品を変え、B級映画としてこれから生き残っていくかもしれないよね。

映画の内容の話をしようにも、あんまり心をえぐってくれなかったからなあ……。旧作の俳優が新作の俳優と並んでいるところで感動するべきなんでしょうが、いまいちぐっとこなかった……。俳優にあんまり思い入れがないからな……。

あ、でも、ジェフ・ゴールドブラムが相変わらず小粋でいたずらっぽい超イケおじで慄いた。良すぎでしょ、ジェフ・ゴールドブラム……。あと足がなっがい。スタイルも良すぎとか……。若い頃よりイケメンになってますよね?

クリス・プラットも好き。あの肉づきのいい身体が……。いや、変な意味じゃなくて。あまりにも完璧なボディメイクだと隙がないじゃないですか。クリス・プラットの完璧すぎない身体づくりのおかげで、彼がたくさん食べておおらかに育ってるような気がして和むんです。

あと、ケイラ役の人……よかった。あの役ってレズビアンですよね……。大活躍してたしかっこよかった。最後のシーンで空港の整備員の女性をナンパしていたのが可愛かった。

毛が生えた恐竜が出てきたのもよかったよね。最初にそのニュースを聞いたときはぜんぜん想像がつかなかったんだけど、この映画で毛が生えてる恐竜ってこんなかんじなのねって納得した。

この映画、わたしはあんまり刺さらなかったんだけど、恐竜好きだったら興奮して観れたのかな。「あ、これってあの恐竜じゃん!」とか「ここでこの恐竜出してくるかー」とかそういう楽しみ方があるのかもしれないね。

うーん。うーん。おもしろいはずなんだよなあ。だってジュラシック・ワールドシリーズの完結編だよ……。でも、シリーズの完結編ってそういうものなのかも。とにかく、決着がつくことはいいものだ。

もしかしたら抑うつ気分が映画への評価に影響を及ぼしてるかも……。なにはともあれ、よくできたおもしろい映画だったとは思う。完結してよかったよかった。

2024/08/12

映画『ハンニバル』感想

姉が一番好きな映画が『羊たちの沈黙』とのことで、その話をしているときに『ハンニバル』のネタバレをされたので観ました笑。

いやはや……。ネタバレ恐怖症が和らいでいてよかったですよ……。最近はわりとネタバレに耐性ができてきたような気がします。

ネタバレが嫌なら気になる映画は片っ端から観ておくべきなんですよね。それがネタバレ回避する唯一の方法でありわたしの責任でもある。

ハンニバル』はリドリー・スコットが監督していたんですね。リドリー・スコットの映画ってある種の上品さがあるのに狂暴な雰囲気がそこはかとなく漂っていて、派手な演出はないのに引きつけられるからすごい。

ポールの晩餐のシーンとか、とても静謐なのに猟奇的でしたね。エレガントなのにすごい迫力でした。映画の凄みを感じました。

前半はイタリアの荘厳な街並みのなかで行われる血生臭い殺人が神聖であると同時に冒涜的でよかった。相反する要素を違和感なく同居させる手腕はさすがだ……。

主役のジュリアン・ムーアの冷徹な美貌には痺れました。『羊たちの沈黙』のジョディ・フォスターの美しさも突出してましたが、ジュリアン・ムーアもいいですね。

あと、驚いたのがゲイリー・オールドマンが出ていたこと! エンドロールを観てびっくりした。あれって特殊メイクだったんだ。あの役がゲイリー・オールドマンだったことに気づいた人っているのか?

今回姉にネタバレされたのが映画の一番おもしろいところだったので、ちょっと、まあ、残念だったな……。いや、観ていなかったわたしが悪いんだけど……。

例の手錠のシーン……。一応確認しますが、これを読んでる人はネタバレを気にしない人ですよね? 普通にネタバレしますよ?

クラリスじゃなくてレクター博士の手首を切り落したシーン。切り落とした手首を見せないところが粋でしたね。

あのシーン、ネタバレがなかったらもっとおもしろかっただろうな……。しくしく。

いや、めそめそしている場合じゃない。あらゆるネタバレを回避するため、もっと精力的に作品を観よう。

2024/08/11

映画『ミッドサマー』感想

ミッドサマー』、数年前に通常版とディレクターズカット版を観たのですが、記録してなかった……。いつ観たんだろ? とりあえず今回は通常版を観たあとにディレクターズカット版で追加されたシーンだけ観ました。

普段は考察サイトとか読まないのですが、今回ばかりはいくつか読みました。監督のインタビューもいくつか。それでいろいろと面白いことがわかってミッドサマーがますます好きになった。

まず、この映画はアリ・アスター監督の失恋の経験を投影したとても個人的な映画らしい。そう思って観ると、この映画は恋人への復讐の映画に見えてくる。

失恋したら恋人からもらったものを燃やすっていう儀式を女の子たちがやっているのを洋ドラマでよく見ますよね。アリ・アスターはそんな可愛いものじゃなくて、熊の生皮を着せたうえで生きたまま焼き殺すんですよ。その失恋が彼にとってどれほど残酷な経験だったかが窺えますね。

あと、新たな発見だったのが、ダニーがホルガ村の出身だったこと。考察サイトで言われていたことなんだけど。村に入って挨拶をされたとき、ダニーにだけ「Welcome home」って言われてたんですね。

メイクイーンの写真がたくさん壁にかかっているシーンで、わたしはここにダニーの母親の写真があるんじゃないかと思って血眼になって探したんですが、上段左から四番目の写真、ちょっとダニーの母親に似ていませんか……? 気のせいか……。

ダニーの父親と母親は生まれたばかりのダニーを連れて村を出ていき、アメリカに渡って暮らしていたんでしょうね。そして、村の人間に殺された。なぜなら、あの村で一番罪深いことは「裏切り」だから。

なぜ一番の罪悪が「裏切り」なのかというと、村を出ていったダニーの両親に対する仕打ちを見たらわかりますよね。両親を殺すだけではなく、妹まで残虐なやり方で殺している。

妹が両親と心中したと見せかけるための偽装工作でああいうやり方をしたんでしょうが……薬で動けなくしてガスで殺すなんて……。妹はアメリカで生まれたから村の者ではないという認識なんでしょうね。村の外の人間を殺すことに罪悪感は微塵もない。

熊の生皮を着せられて小屋に設置されたクリスチャンに祈祷師?が言いますよね。「お前により最も罪深い感情を浄化する」「自分の邪悪さを省みるがよい」と。観たあとでずいぶん考えました。クリスチャンはなぜあそこまで残酷に殺されなければならなかったのか? 彼の罪は何か?

その答えは、クリスチャンがダニーを裏切ったから。一番罪深い「裏切り」行為をして、それをダニーは許すことができなかった。だからダニーは彼を選び、彼は殺された。

アリ・アスターの元恋人……相当恨まれていますね。アリ・アスターは恋人に裏切られたと感じて、その恋人の仕打ちに対する壮大な復讐をこの映画に映し出そうとしたのかも。

彼は想像のなかで元恋人の肺を生きたまま取り出し、全身の皮を剥ぎ、土に埋め、石をくくりつけて川に投げ、熊の皮を着せて焼き殺す。アリ・アスターの怨恨って根深いですよね……。だがそこがいい。そういう個人的なオブセッションを見たいんだわたしは。

通常版とディレクターズカット版、やっぱりディレクターズカット版を観た方がいいですね。ディレクターズカット版を観ると、ホルガ村へ向かうドライブ中の会話で、ペレがずっと前から周到にクリスチャンたちを誘導してホルガ村に来るように仕向けていることがわかる。それとディレクターズカット版の方がクリスチャンがクズなのがよくわかる。

一番最初に絵が出てくるじゃないですか。クリスチャンがダニーを慰めているんですけど、手を後ろに隠しているんです。よく見えないけど、たぶん指をクロスさせているんじゃないかな。海外の人が嘘をつくときにする仕草です。クリスチャンは根っからの嘘吐きなんでしょうね。

あ、でもなあ。上品さがあるのはだんぜん通常版だな……。ディレクターズカット版はどうしても冗長になるというか、裏側がより見えてくるので含みを持たせられない故の下品さが滲んでしまうというか……。通常版の方がより意味深で理不尽で、それはそれでいいかもしれない。

初めて観たときは、あの村が理想郷に見えました。堅固な共同体のなかで分かち難いほど結託し、純血主義を尊び、自由を享受し、死をも受け入れる。

だけど「裏切り」が一番の罪悪だとしたら、それはディストピアですよね。だけどホルガ村を拒絶していたダニーも最後には狂気に呑まれディストピアがユートピアになってしまった。

カタルシスを感じると同時に、なんともいえない後味の悪さもある。アリ・アスターの持ち味ですね。クセになるわあ……。

インタビューによると、『ボーはおそれている』の他にも映画を作っているみたいなんだよな。新作が楽しみすぎる。期待して待ちます。

2024/08/04

映画『ゴーストライダー』感想

この映画マーベルだったんだ。知らなかった……。観てみるとマーベルらしさに溢れた映画でした。

映画を観る体力がない時はマーベルとかコミック原作映画ってスルスル入ってくるからちょうどいいんだよな。いい意味でも悪い意味でもひっかかりがないというか。

最近映画を観る力がとみに衰えてきたなあと感じています。読書もそうなんだけど。ひとつのものを集中して見続ける体力がなくなってきた。映画を三日かけて観るとかざらだもん。

やっぱりXとかショート動画が原因だろうなあ。あと老化とか精神状態とかいろいろな理由があるだろうけど、衰える要因しかないね、今の生活は笑。

そんな映画を観る集中力が続かない人のために、マーベルはあれこれ工夫を凝らして映画を作ってくれているような気がするね。エンタメ全振りのいいところはそこですよ。

コミック原作映画ってキャッチ―でテンポがよくて大衆受けして派手なアクションがあって観客を飽きさせないように作っている、って考えるとめちゃくちゃ至れり尽くせりだな。ありがたいよ、ほんとに。

ゴーストライダー』もまさしくマーベルが作った映画で、主人公の悲惨な過去からはじまり、変身あり派手なアクションあり、セクシー美女も出てくる良い映画でした。

個人的にいいなあと思ったのは、主人公のジョニーが住んでいる部屋。いわゆる「man cave」というやつ。男の城ですね。あそこ住みたいなあ。憧れですね。

ジョニーのキャラもよくってね……。寡黙でシリアスなんだけど、ニコラス・ケイジの持つ軽妙さで親近感が湧くんだよね。猿が好きだったり酒じゃなくてグミを食べたり、ちょっとかわいいところがあざといんだけど憎めない。

というか、ニコラス・ケイジってこの映画ではめちゃくちゃスタイルよくて筋肉隆々でびっくりしました。すごかったですよ、肉体美が。身体の半分以上が足だったし。面白枠だと思っていたんですけど、印象が変わりました。かっこいいよあの人は。

かっこいいといえば、サム・エリオットがかっこよかった……。有名な『明日に向って撃て!』の人なんですね。『レガシー』とか『マスク』にも出演していたらしいけど、覚えてない……。

そういえば、『イージー・ライダー』のピーター・フォンダが出ていたらしいけど気づかなかった。『イージー・ライダー』おもしろかったなあ……。その映画を観た所感を家族に話したのがきっかけで、ブログをはじめたようかなと思ったんだよな。

なにはともあれ、久しぶりに映画をするっと観れてけっこう満足した。

重厚で真剣な映画に耐えられそうにない時はマーベルに限るね。精進料理やフランス料理のフルコースを食べられそうにない時に食べるカップヌードルという風情。安心してジャンクな味を楽しめる。

バランスよくいろんな映画を観たいですね。

映画『インタビュー・ウィズ・ヴァンパイア』感想

インタビュー・ウィズ・ヴァンパイア』は大学生の頃に親友が観て大感動していた作品で、気になってはいたのですが……。大学生の時に観ておくべきでした。

大学生の頃ならこの作品に耽溺できたかもしれない。いやはや惜しいことをした……。作品を観るのに一番いい時期を逃してしまいましたね。

ブラッド・ピットとトム・クルーズの共演なのでこれは心して観ないといけないぞと構えてずるずると視聴時期を延ばしていたのがいけませんでした。

このふたりのケミストリーが上手くいっていたかというと、いまいち確信が持てない……。でも、このふたりじゃないとこれだけ有名な作品にはなっていなかっただろうな……。

トム・クルーズとブラッド・ピットがヴァンパイア役をするという異色の作品だからこそ耳目を集めたんだろうし……。

映画の見どころも俳優の美しさや耽美な雰囲気だと思うので、脚本の良さや巧みな演出に着目して視聴する人にはちょっと物足りなかったかもしれない。

トム・クルーズが思ったよりもヴァンパイア役にはまっていて驚いたな。すごく痩せていたけど、この映画のために痩せたのかな? そうだとしたらすごいよ、あの痩せ方は……。

この映画の二年後に『ミッション:インポッシブル』が公開されているんですよ? 撮影時期はズレているだろうけど、役柄によって痩せたり筋肉をつけたり俳優って改めて過酷な仕事だなあ。

ブラッド・ピットは最初の方はヴァンパイア役に違和感があったんですよ。だけど後半になるにつれどんどんヴァンパイア然としていった。あの違和感はルイの人間性がまだ残っていることをあらわしていたんだな。すごいよ、役への理解とその表現力が。

クローディア役のキルスティン・ダンストは幼い頃からとんでもない美少女だったんだね。演技も鬼気迫るものがあったし、天性の俳優気質なんだろうな。

キルスティン・ダンストでパッと思い浮かんだのが『スパイダーマン』なんだけど、調べてみると『マリー・アントワネット』も彼女だったらしい。おもしろかったなあ……。ドレスがよく似合うね、キルスティン・ダンストは……。

原作小説があるみたいだけど、小説のラストは映画と同じなのかな? あのラストは小説で読むとそれほど違和感がないのだろうか。映画で観るとちょっと戸惑いがあったけど。いや何故そこにレスタトがいるんだ……という戸惑い。

まあ絵的におもしろかったし余韻としては良いラストだったと思う。古びたレースのついた服を着たレスタトが車を乗り回しロックが流れ、近代的な都市の遠景で終わる……。うん、いい。いいシーンのために多少の破綻は押し切るというのはわりと大事なのかもしれない。

この豪華俳優陣で、さらにリヴァー・フェニックスが出演していたら完璧だったのに……。いやクリスチャン・スレーターはすごくよかったですよ。だけどリヴァー・フェニックスだったら耽美な雰囲気がさらに高まっていただろうに……。

なにはともあれ、トム・クルーズとブラッド・ピットが好きなら観てもいいと思う。ただ、アドレナリンがドバドバ出るタイプの映画が好きな人にはオススメしないかもしれない。

絢爛たる室内装飾や煌びやかなドレス、男性の長髪と女性の巻き髪、夜の世界、そしてヴァンパイアの美しさや悲しみ、そういうものにしみじみと感じ入ることができる人はおもしろく観れると思う。

ジェーン・オースティン『いつか晴れた日に』感想

やっと読み終わったー……。時間かかったなあ。 ジェーン・オースティンの作品は『 高慢と偏見 』と『 エマ 』しか読んでなくて、その二つがとてもおもしろかったから『 いつか晴れた日に 』を読んだんだけど。 なんというか、先述の二作品が作家として成熟した時期に書かれたものなんだろうな...